平成22年度に新規設置した小型赤外線加熱単結晶育成装置(FZ炉)を用いてMGC材料の特性改善を行った。 【MGC材料化の検討】Al2O3/SmAlO3系およびAl2O3/Yb3Al5O12系について凝固速度による組織の微細化を調べた。Al2O3/SmAlO3系においては、凝固速度を5,10、20㎜/hrと変化させることにより組織サイズは3.22μm-2.56μmへと幾分微細化した。Al2O3/Yb3Al5O12系については凝固速度を5-200mm/hrの範囲で変化させると、組織サイズは約2μm~14μmと変化し、凝固速度(V)と組織サイズ(λ)の間にはλV-1/2の関係が成り立つ。 【組成探索】Al2O3/Yb3Al5O12系に第3酸化物ZrO2を0.01,0.1、0.5、1.0molを添加し、組織の微細化を調べた。ZrO2を0.01-1.0mol添加しても組織サイズはほとんど変化せず、コロニー組織が形成され、不均一な組織となった。 【特性評価と解析】(株)超高温材料研究センター岐阜事業所において、MGC材料の1600℃における曲げ試験を行った。凝固速度5㎜/hrで製造したAl2O3/Yb3Al5O12系MGC材料において約310MPaの高温曲げ強度が得られた。一方、凝固速度20㎜/hrで製造したAl2O3/SmAlO3系MGC材料において、765MPaの高温曲げ強度意が得られた。この値は今までの二元系MGC材料の中で最も高い値であり、同一組成の焼結複合材料の約65倍以上の曲げ強度である。
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