透明酸化亜鉛薄膜の高周波物性評価とその高周波デバイスへの応用

2012 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 22360277
• 研究機関: 独立行政法人物質・材料研究機構
• 研究代表者: 羽田 肇 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (70354420)
• 研究分担者: 坂口 勲 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (20343866) ; 齋藤 紀子 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (20354417) ; 安達 裕 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (30354418) ; 菱田 俊一 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (40354419) ; 大橋 直樹 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (60251617) ; 大垣 武 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (80408731)
• 研究期間 (年度): 2010-04-01 – 2013-03-31
• キーワード: 透明導電体 / 酸化亜鉛 / 高周波素子 / アンテナ

研究概要

透明酸化物の高周波デバイスへの応用として、広く実用化されているITO膜上に、線状の金属導体を配置した5.2GHz帯の透明モノポールアンテナを検討した。モノポールアンテナは、ITO膜の抵抗率と膜厚に基づき、有限要素法を用いた3次元電磁界シミュレータにより設計し、アンテナ形状を決定した。シート抵抗値3.3Ω/□のITO膜をエッチングしてアンテナパターンを形成し、さらに、フォトリソグラフィーを応用したリフトオフプロセスによって目視では確認できない微細な金属配線を形成して、ハイブリッド構造の透明アンテナを作製した。作製した透明アンテナは、電磁界放射パターン近傍界を高速に測定し、Spherical Near Field/Far Field変換により遠方界放射パターンを得る手法で評価した。その結果、実測値とシミュレーション値がよく一致した結果が得られ、電流密度が集中する放射部に微細な金属配線を配置する手法が、アンテナ利得および放射効率を向上させることを実証した。
さらに、透明導電体のシート抵抗値の低減により、アンテナ特性の更なる向上が実現できることが明らかになったことから、ZnO膜の応用についても検討した。ZnOは可視領域の透過率がＩＴＯ膜よりも高いことから、厚膜化が可能であり、ドーピングによる高い導電性が得られれば、実用化に耐えうる透明アンテナ特性が期待される。そこで、ZnO膜に添加するドーパントの高活性化に着目して、ZnO薄膜の結晶極性を利用した有効なドーパントを添加する成膜方法をスパッタリング法、PLD法を用いて検討した。その結果、薄膜合成中に特定の電圧を印加するZnO薄膜の極性制御法を確立し、さらに、ドーピング元素・ドープ量とZnO薄膜の結晶極性・薄膜構造の関係、および、その電気特性を明らかにした。

現在までの達成度 (区分)

理由

24年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

24年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] Evaluation of zinc self-diffusion at the interface between homoepitaxial ZnO thin films and (0001) ZnO substrates (2012)
  • 著者名/発表者名: Ken Watanabe
  • 雑誌名: Solid State Communications 巻: 152 ページ: 1917-1920
  • DOI: 10.1016/j.ssc.2012.07.002
  • 査読あり
• [雑誌論文] Observation and simulation of hard x ray photoelectron diffraction to determine polarity of polycrystalline zinc oxide films with rotation domains (2012)
  • 著者名/発表者名: Jesse R. Williams
  • 雑誌名: Journal of Applied Physics 巻: 111 ページ: 033525/1-7
  • DOI: 10.1063/1.3682088
  • 査読あり
• [雑誌論文] An aqueous solution process and subsequent UV treatment for highly transparent conductive ZnO films (2012)
  • 著者名/発表者名: Hajime Wagata
  • 雑誌名: Journal of Materials Chemistry 巻: 22 ページ: 20706-20712
  • DOI: 10.1039/C2JM33584K
  • 査読あり
• [雑誌論文] 酸化亜鉛球状粒子のナノ階層構造 (2012)
  • 著者名/発表者名: 齋藤 紀子
  • 雑誌名: マテリアルインテグレーション 巻: 25 ページ: 32-36
• [学会発表] Crystal Polarity and Electrical Properties of Heavily Doped ZnO Films (2012)
  • 著者名/発表者名: Yutaka Adachi
  • 学会等名: MRS Fall Meeting 2012
  • 発表場所: Boston, USA
  • 年月日: 20121125-20121130
• [学会発表] スパッタ法による酸化亜鉛薄膜堆積におけるバイアス電圧印加効果 (2012)
  • 著者名/発表者名: J. Williams
  • 学会等名: 第32回エレクトロセラミックス研究討論会
  • 発表場所: 目黒区、日本
  • 年月日: 20121026-20121027
• [学会発表] Thermal behavior of defects in ion-implanted zinc oxide ceramics (2012)
  • 著者名/発表者名: Ken Watanabe
  • 学会等名: IUMRS-ICEM 2012
  • 発表場所: Yokohama, Japan
  • 年月日: 20120923-20120928
• [学会発表] 極性がヘビードープZnOおよび（Mg, Zn）O薄膜の結晶成長, 光学特性および電気特性に及ぼす影響 (2012)
  • 著者名/発表者名: 安達 裕
  • 学会等名: 日本セラミックス協会第25回秋季シンポジウム
  • 発表場所: 名古屋市、日本
  • 年月日: 20120919-20120921
• [学会発表] 水とエチレングリコールを溶媒にした球状酸化亜鉛の合成 (2012)
  • 著者名/発表者名: 齋藤 紀子
  • 学会等名: 日本セラミックス協会第25回秋季シンポジウム
  • 発表場所: 名古屋市、日本
  • 年月日: 20120919-20120921
• [学会発表] 低環境負荷水溶液プロセスによる透明導電性酸化亜鉛膜の作製 (2012)
  • 著者名/発表者名: 我田 元
  • 学会等名: 日本セラミックス協会第25回秋季シンポジウム
  • 発表場所: 名古屋市、日本
  • 年月日: 20120919-20120921
• [学会発表] 溶液プロセスによる透明ZnO膜の堆積と紫外線照射による導電性の変化 (2012)
  • 著者名/発表者名: 洪 正洙
  • 学会等名: 日本セラミックス協会第25回秋季シンポジウム
  • 発表場所: 名古屋市、日本
  • 年月日: 20120919-20120921
• [学会発表] Polarity determination of wurtzite-type films by XPS (2012)
  • 著者名/発表者名: Naoki Ohashi
  • 学会等名: International Workshop on zinc oxide 2012
  • 発表場所: Nice, France
  • 年月日: 20120911-20120914
• [学会発表] Influence of Crystal Polarity on Mg incorporation in ZnO films (2012)
  • 著者名/発表者名: Yutaka Adachi
  • 学会等名: International Workshop on zinc oxide 2012
  • 発表場所: Nice, France
  • 年月日: 20120911-20120914
• [学会発表] スピンスプレー方により作製した酸化亜鉛膜への紫外光照射処理による低抵抗化 (2012)
  • 著者名/発表者名: 我田 元
  • 学会等名: 第73回応用物理学会学術講演会
  • 発表場所: 松山市、日本
  • 年月日: 20120911-20120914
• [学会発表] Oxygen diffusion in Co doped ZnO ceramics (2012)
  • 著者名/発表者名: Isao Sakaguchi
  • 学会等名: The 6th International Conference on the Science and Technology for Advance Ceramics
  • 発表場所: Yokohama, Japan
  • 年月日: 20120626-20120628
• [学会発表] Structural and Electrical Properties of a-axis Oriented ZnO and (Mg,Zn)O Films on (1-102) Sapphire Substrates (2012)
  • 著者名/発表者名: Yutaka Adachi
  • 学会等名: The 6th International Conference on the Science and Technology for Advance Ceramics
  • 発表場所: Yokohama, Japan
  • 年月日: 20120626-20120628
• [学会発表] ZnO Spherical Particles Grown in Ethylene Glycol and Water Solvent (2012)
  • 著者名/発表者名: Noriko Saito
  • 学会等名: Faraday Discussion 159-Crystallisation-A Biological Perspective
  • 発表場所: Leeds, UK
  • 年月日: 20120623-20120625
• [学会発表] Solvothermal Synthesis of ZnO Spherical Particle and Gas Sensing Property (2012)
  • 著者名/発表者名: Noriko Saito
  • 学会等名: The 10th international conference Solid State Chemistry
  • 発表場所: Pardubice, Czech
  • 年月日: 20120610-20120614
• [学会発表] Solution process for ZnO nanostructures
  • 著者名/発表者名: Noriko Saito
  • 学会等名: The 3rd International Symposium on Advanced Nano-Materials
  • 発表場所: Nagoya, Japan