研究課題
これまでの圧電材料の柱であるPZTは有害な鉛を含有するため、今後は規制の対象となる。その背景に、PZTを代替できる非鉛圧電材料の研究開発は世界的に喫緊の課題となっている。しかし、多くの研究努力にもかかわらず、殆どの非鉛圧電材料の圧電特性はPZT(特に最高の圧電特性を有するソフトPZT)に遠く及ばない。本研究では、我々がつい最近発見した世界最高の圧電特性(圧電定数d33;600pC/N)を有する非鉛圧電材料BZT-BCT(Physical Review Letters,2009,accepted)を踏まえ、その物理機構を解明し、更に良い特性を持つソフトPZTに匹敵する非鉛圧電材料を創出することを目的とする。今年度では、高分解電顕など微視的な方法でBZT-BCT系のtricritical MPBの微視的結晶構造及びドメイン構造を決定し、大きな圧電効果との関連性を研究する。また、ほかの非鉛圧電材料系においても大きな圧電効果が得た。更に放射光X線回折を用いてMPBの結晶構造を決定した。以下の成果が得られた。・高分解透過型電顕および収束電子回折(CBED)を用いて、BZT-BCT非鉛圧電材料系にMPB付近の組成の微細組織及びそれの温度、組成依存性を調べ、階層状ドメイン(hierarchical domain)の存在を発見した。この非鉛系の大きな圧電効果との関係を明らかにした。・三重点MPB理論を用いて、新規高性能非鉛圧電材料系BST-BCTとBHfT-BCTを開発し、圧電係数d33が500以上の高い値が得られた。・放射光X線回折によるBZT-BCT非鉛圧電材料のMPB付近の構造相転移の研究し、大きい圧電効果を裏付ける格子不安定性の直接的な証拠を得た。
2: おおむね順調に進展している
期待された結果が出たから。
高Tcの非鉛圧電材料の研究を進める。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件)
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