研究分担者 |
清野 肇 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (50281788)
林 重成 北海道大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10321960)
南口 誠 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (90272666)
上田 光敏 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (90376939)
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研究概要 |
本研究は,固体酸化物燃料電池(SOFC)の耐久性を向上させるために,ケイ素を含むガラスシールに代わる,ケイ素フリーの新しい高温用ガスシール技術を提供することを目的としている。 SOFCの構成部材にケイ素を含む材料を用いると,構成部材から揮発する極微量のSi(OH)_4(g)などが燃料極に輸送され,燃料極でSiO_2(s)を形成し,これによりSOFCの性能が低下することが指摘された。そこで,本研究では,ケイ素フリーの新しい高温用ガスシール技術として,我々が開発したアルミニウムの酸化を利用した液相酸化接合技術をSOFC構成部材の接合に適用し,接合部のガスシール性評価と耐熱性評価を行った。 アルミニウム中間層を用いた液相酸化接合では、SOFC構成部材のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)とステンレス合金の間に酸化アルミニウムからなる接合部を生成させることで,高い酸素ガスシール性と耐酸化性を有するシールができることを明らかにした。また、酸化ジルコニウムを分散させたアルミニウム中間層を用いた液相酸化接合でも、高い酸素ガスシール性を有するシールができることを明らかにした。この接合で形成される中間層は酸化アルミニウム中に酸化ジルコニウムが分散されているため、熱膨張率の不一致が緩和されていることが期待される。さらに、酸化ニッケルを分散させたアルミニウム中間層を用いた液相酸化接合も行った。この接合で形成される中間層は酸化アルミニウム中に熱膨張率の高いニッケルが分散していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的通りに、ケイ素フリーの新しい高温用ガスシール技術として,我々が開発したアルミニウムの酸化を利用した液相酸化接合技術をSOFC構成部材の接合に適用し,接合部のガスシール性評価と耐熱性評価を行った。まず、アルミニウム中間層により、SOFC構成部材のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)とステンレス合金を接合することにより、高い酸素ガスシール性と耐酸化性を有するシールができることを明らかにした。次に、酸化アルミニウムで構成される接合部とYSZやステンレス合金との熱膨張率の不一致を緩和するために、酸化ジルコニウムを分散させたアルミニウム中間層による接合も行い、この接合が高い酸素ガスシール性を有していることを明らかにした。さらには、接合部と構成部材との熱膨張率を一致させることを目的に、酸化ニッケルを分散させたアルミニウム中間層による接合も行い、接合過程における酸化ニッケルの還元とアルミニウムの酸化により、ニッケルを分散させた酸化アルミニウムからなる接合部を形成させることにも取り組んでいる。したがって、当初の計画通りに順調に進展していると言える。
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