研究概要 |
平成22年度は(A)Mn系金属の強磁場中状態図調査および(b)Fe系金属の強磁場中状態図調査を行った。以下に詳しく述べる。 (A)Mn系金属の強磁場中状態図調査 東北大学金属材料研究所附属強磁場超伝導材料研究センターの共同利用プログラムを利用して、試料Mn:Biの10:90, 20:80, 30:70, 40:60, 50:50, 60,40, 70:30, 80:20, 90:10を準備し、18T無冷媒超伝導マグネットおよび28Tハイブリッドマグネットを利用した強磁場実験を行った。その結果、分解温度の磁場効果だけでなく、液相線の磁場による変化の兆候を捉えることに成功した。東北大工学部及川准教授協力のもとで行った分子場近似による磁気エネルギーを取り入れた平衡状態の計算によっても、同様の結果を得た。この変化は従来全く予想されておらず本研究の成果である。さらに、前年度米国国立強磁場研究所で行ったMnBiの45T中熱分析の結果を詳しく解析した結果、MnBi→Mn1.08Bi+液体Biへの分解だけでなく、Mn1.08Bi→固体Mn+液体Biへの分解温度も観測していることを突き止め、論文発表を行った。 (B)Fe系金属の強磁場中状態図調査 亜共析と過共析領域の炭素鋼について強磁場中熱分析を行った結果、共析温度の磁場による上昇を確認しするとともに、この成分領域における強磁場中平行状態図を解明した。また、純良炭素鋼試料と市販炭素鋼試料についても強磁場中熱分析で評価した結果、共析温度の磁場効果に大きな違いが無いことが明らかとなった。この成果は、市販鋼材の磁場による組織制御の観点からも重要である。
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