研究分担者 |
塙 隆夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (90142736)
土居 壽 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (30251549)
堤 祐介 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (60447498)
大野 喜久郎 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50014238)
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研究概要 |
本研究では、核磁気共鳴法による画像診断(MRI)においてアーチファクト(虚像)を発生しない生体用Zr合金の開発を行う。平成22年度は、アーチファクト形成量におよぼす材料の磁化率および印加磁場の影響を調べるため、金属の磁化率を関数としたアーチファクト形成量を、印加磁場ごとに3次元画像解析により評価した。 磁化率の異なる金属(SUS316L,Co-Cr,Nb,Ti,Mo,Zr,Al,Sn,Cu,Ag)を用い,直径3mm,長さ25mmの円柱状試料を準備した.プラスチック容器に金属試料を入れ,硝酸Ni混合寒天を用いて包埋し,MRI撮像に供した.試料はMRIの静磁場に対し長軸が平行,垂直となる2方向に設定した.撮像方法にはFast spin echo(FSE), Gradient echo(GRE)を使用し、印加磁場は1.5Tおよび3Tとした.得られたMR画像からアーチファクトの3Dモデルを作成し,体積を算出した. 磁化率の絶対値が大きい金属ほど、生じるアーチファクトが大きいことが確認された.また常磁性金属と反磁性金属では,アーチファクトの発生方向が反転していた.アーチファクトの体積は,体積磁化率の絶対値が増加すると直線的に増加する傾向があった.また、撮像方法によりアーチファクトの体積も異なり、GRE法にて発生するアーチファクトはFSE法と比べて大きいことが分かった。以上より、磁化率の絶対値の低下がアーチファクトの低減に有効であることが示唆された. 以上の実験結果を用いることにより、許容できるアーチファクトの量、すなわち磁化率の範囲を限定できることから、今後開発するMRI対応Zr合金の開発指針となりうる。
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