研究概要 |
放電プラズマ焼結法(SPS法)によって,ポーラスチタンの中にβ-TCP(三リン酸カルシウム)を複合化した.比較的大きいチタン粉末(粒子直径150μm以下,ならびに250~600μmの粉末)使用したとき,焼結が不十分で,試験片の作製が困難であった.粒子直径45μm以下のチタン粉末を使用したとき,良好な焼結体が得られた.このときの焼結条件は,焼結温度1273K,焼結圧力60MPa,保持時間10minであった. チタン粉末同誌が接触している部分では,粉末同誌の全面的な焼結による合体や,粉末間でのネック形成による良好な焼結が達成されているのが認められた.しかし,チタンとβ-TCPの界面では両者間の反応がおこり,リン化チタンが形成しているのが認められた. 粒子直径45μm以下のチタン粉末を使用して作製した試験片を用いて圧縮試験を行った.一部の試験片は焼結後そのまま,残りの試験片は純水中に最長9日間浸漬し,最大で約7.3%の気孔を導入して,圧縮試験に供した. β-TCPを溶出しない焼結まま試験片のヤング率に比較して,2.7%気孔材,7.3%気孔材のヤング率は減少し,それぞれ焼結まま試験片の83%,66%となった. このことから,チタン/β-TCP複合材料からβ-TCPを溶出させることにより,見かけのヤング率を低下させることが可能であることを確認した.
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