研究概要 |
作製する試料の特性は,ポロシティ,ポアのサイズ,分布などにからく影響を受けるため,各種条件を変化させて資料を作製した.具体的には,SPS法のパラメータ(パンチ圧力,電流条件など)だけでなく,素材として用いるチタン合金の粒子サイズやリン酸カルシウム粒子サイズ,リン酸カルシウム粒子の表面性情などが影響を及ぼすことが考えられるので,望ましい特性を発揮する複合材を得ることを目的に,チタン合金のサイズ,(均一沈殿法の製造条件などからコントロールした)リン酸カルシウム粒子サイズを変えて,複合材料を作製した. 均一沈殿法については,反応温度,反応時のpH,基質濃度,攪拌速度,共存アニオン添加剤(吸着性有機物,界面活性剤など),溶媒(通常は水だがアルコール,グリコール等との混合溶媒を使うこともありえる)などと変化させた.均一沈殿法により作製したリン酸カルシウム凝集粒子は30~50μmのサイズに凝集していることが明らかになった.これを大気中で熱処理することにより得られたβ-TCP粉末とガスアトマイズTi粉末を混合し,SPSで試料を作成した. 作製した複合材試料を用いて,圧縮試験,摩耗試験,溶解試験などの各種評価を行い,組織と特性の観点から調査した.リン酸カルシウムの溶解に伴う,試料の特性の変化を検討した後,とくにポロシティと機械的性質(強さ,ヤング率)の関係に注目し,両者間の対応を詳細に検討した.Tiとβ-TCPの体積分率が50:50となる試料の純水中における質量変化を測定し,約1200ksの溶出で約88%となった.これは当初配合したβ-TCPの体積分率に及ばず,閉気孔内に閉じ込められ溶出できないものがあったためと考えられる.また,β-TCPの溶出前後でヤング率が減少することをみいだした.
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