研究課題/領域番号 |
22360289
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
篠崎 和夫 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (00196388)
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研究分担者 |
CROSS Jeffrey 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90532044)
櫻井 修 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (20108195)
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キーワード | ガスセンサー / 酸化物薄膜 / エピタキシャル / ガス拡散センサー / ガス吸着センサー |
研究概要 |
ガス吸着型およびガス拡散型セラミックスガスセンサのセンサー部をエピタキシャル薄膜化することで、粒界、あるいは膜厚などの因子を積極的に利用することを目的に検討を行っている。本年度は、初年度につづいてセンサー構造の最適化と実際のセンサー特性の検討を行った。 [ガス吸着型ホモエピタキシャル薄膜構造の開発]PLD法を用いてガス吸着型エピタキシャルガスセンサーに適した薄膜成長技術の開発を行った。すなわち、エピタキシャルフェライトを用いたガス吸着型センサーに適した薄膜成長技術として、Y_2O_3添加ZrO_2単結晶基板上に、高抵抗なZnFe_2O_4バッファ層を形成し、その上にTiO_2を添加して半導性を付与した高結晶性のZnFe_2O_4薄膜を成長するバッファ層を導入したホモエピ薄膜成長技術を開発した。フェライト系エピタキシャル膜に櫛形電極を形成し、ガス吸着型センサー特性を測定した。この結果、半導性のフェライトを直接、YSZ基板上に製膜した場合に比べて膜厚が薄くなるほど感度が高い傾向が見られ、当初から検討目標としていた感度の膜厚依存性が明確に示され、3nm程度の膜厚まで感度が上昇することが明らかになった。 [ガス拡散型センサー技術開発]SiO_2/Si基板上に形成したエピタキシャルYSZ薄膜を、反応性イオンエッチング装置を用いて、Si基板側からエッチングし、YSZを露出したデバイス構造を作成した。Pt多孔質電極を用いてセンサー動作の温度依存性を検討したところ、起電力(EMF)測定は350℃くらいまで可能であった。しかしながら、反応時間は10-30分以上にもなる。一方、交流インピーダンス測定を行ったところ、酸化物イオンの拡散と思われるインピーダンスは180℃以下まで観察された。バルクYSZでは、600℃程度が下限動作温度度であることから、著しい低温化である。昨年度の結果から、薄膜の応力はそれほど大きな影響はないことが明確であり、これはバルクに比べて、著しく膜厚が薄いことから、内部抵抗が低いこと、YSZがエピタキシャル成長していることから、高抵抗の粒界の数が少ないことによるものと考えられる。いっぽう、交流インピーダンス測定では180℃という低温でも酸化物イオンの拡散が予想されることから、Pt電極表面での酸素のイオン化反応が遅いことが予想された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進展していると考えられる。現在、低温での触媒能が高い酸化物電極を検討している。ガス吸着のメカニズムを検討すべく導入した紫外光の照射から得られるデータの解釈によって、表面反応の検討を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究自体はほぼ予定通り進んでいるが、系統的なデータ取得が遅れているため、論文化に必要な十分なデータが揃わないことが多く、情報発信が遅れている。今年度はこの点に留意して進めたい。
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