本年度は変形の状態方程式の決定とそれに基づく変形機構の同定、多様な変形機構の活用による高配向化の実現を目標として研究を進めた。圧縮試験の試料は、常温圧粉後焼結してバルク化した直方体形状の大寸法試料を真ひずみ-1程度まで圧縮変形して緻密化し、その試料の十分緻密化した中心部から所定の形状・寸法で切り出して作製した。 ひずみ速度が一定となるようクロスヘッドの速度をコンピュータで制御して1153K、 1173Kならびに 1193Kの三種の温度で圧縮試験を行った。ひずみ速度は1.0×10-3s-1~3.0×10-5s-1の範囲である。定常変形状態まで変形し、ひずみ速度と変形応力の関係を調べた。その結果、高変形応力側から低変形応力側に変形条件が変化するにつれて、応力指数が大きく変化することがわかった。この結果をもとに、変形機構領域図を作成した。 変形応力が高くなる条件では、変形前の結晶粒径よりも微細化した結晶粒組織が変形後に観察された。そこで、変形応力と変形後の結晶粒径の関係を調べた結果、両者に一対一対応が確認された。変形材の結晶方位分布は圧縮面に頻度高く(001)が配向した(001)繊維集合組織であった。繊維集合組織の発達度は変形条件に強く依存していた。配向度は、最大で平均極密度の30倍を上回る水準となった。この場合の変形の応力指数は低く、今後さらに詳細な検討が必要であるが、拡散クリープが結晶配向の先鋭化に寄与していることが示唆された。
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