研究課題/領域番号 |
22360297
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
豊川 弘之 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 研究グループ長 (80357582)
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研究分担者 |
榊 浩司 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 研究員 (20392615)
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キーワード | 電子陽電子対生成 / 電子加速器 / 電子蓄積リング / 水素吸藏 / 水素脆性 / 陽電子消滅法 / Sパラメータ / 陽電子寿命測定 |
研究概要 |
今年度は、LCS光子ビームの安定発生に関する装置改良と調整を行った。具体的には、電子リニアックのRF真空窓の更新を行い、マイクロ波電力輸送の高効率化を行った。これによって、電子エネルギーを現状の300 MeVから315 MeVとすることに成功し、蓄積リングへの高効率入射を達成した。また、クライストロンシステムを一基増設して更なる電子加速効率の向上を図るために、新規にパルス整形回路(PFN)を設計してPFNユニットを製作した。これらの研究によって、光子誘起陽電子消滅ガンマ線法を用いて、加熱試料を測定するシステムの実現にめどをつけた。 温度や応力等の条件を変えた状態で、鉄に水素を注入したサンプル片を製作し、空孔型格子欠陥濃度や転位密度変化が水素脆性に与える影響を非接触、かつ溶液中で評価する手法の実証に関する研究を、光子誘起陽電子消滅法を用いて行った。サンプルを製作し、光子誘起陽電子消滅法によってこれを測定した結果、転位密度と応力の間に相関がみられた。これらの研究によって、水素チャージと空孔型格子欠陥濃度の関係を遠隔、かつ非破壊で検査する手法を実証できた。 水素吸蔵合金の吸蔵量と空孔型格子欠陥濃度の関係を明らかにするため、水素加圧時と減圧時の空孔型格子欠陥濃度の変化を光子誘起陽電子消滅法によって測定し、これを可視化することを目標とする研究を行った。今年度は、水素吸蔵合金へ永素が吸蔵される様子を、容器に封入された状態で可視化するため、スペクトル先鋭度(Sパラメータ)を画像として可視化するシステムを構築した。これによってSパラメータの二次元可視化が可能であることを確認した。
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