研究課題/領域番号 |
22360303
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
久保木 孝 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 准教授 (90361823)
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研究分担者 |
村田 眞 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (10106883)
坪倉 誠 北海道大学, 工学研究科, 准教授 (40313366)
松井 和己 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 准教授 (00377110)
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キーワード | 潤滑 / 高圧水 / 塑性加工 / CFD / 有限要素法 / 深絞り加工 / 異方性 |
研究概要 |
(1:塑性・流体実験-1)深絞り加工における流体潤滑剤供給機構の検討 本年度は,流体解析と塑性変形解析を個別た実施し高水圧供給穴の改善を試みた.流体解析の結果,当初予測とは異なり,供給径は大きいまま穴の数を増加させる方が,永圧を抑えたままで材料の浮上効果を改善できるとの予測結果が得られた.塑性変形解析の結果,加工の際の面圧が高くなる場所は40~50°近辺と予測された.これらの結果に基づき,新ダイスを試作した結果,成形品表層部の損傷が抑制できた. (2:塑性・流体実験-2)異方性発現の考察とその数値的記述の検討 結晶塑性を考慮した解析を用いて、圧延材の深絞り特性挙動の数値的な記述を試みた結果,圧延圧下率の増加とともに異方性が増加する傾向が予測された.この傾向は実験結果と一致した. (3:塑性解析&流体解析)塑性解析 塑性解析結果の出力結果を用いて流体解析することを前提に、流体解析の入力データとして適した結果を出力するための塑性解析モデルを構築した。具体的には、6面体要素を用いた上で、異方性解析ができるように修正した.また、流体解析の入力データとして扱うことのできる出力データの書き出しを可能とした. (4:塑性解析&流体解析)流体解析モデルの決定 流体解析と弾性変形の連成問題で実績のあるソフトOpen FOAMを流体解析コードとしても用い,標準的な深絞り途中の幾何学データを基に、流体解析モデルを構築した.この際,高圧水供給ノズル内流体の数値的記述にはSwamee-JainとDarcy-Weiswaqhの式を組み合わせた初等解析を用い,数値解析の時間短縮と安定化に成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終的には(1)潤滑剤の流体解析と(2)塑性変形解析とを融合した解析システムの構築を目的としているが,それぞれの解析モデルのプロトタイプは完成し,(2)→(1)へのデータ受け渡しを可能としている.また,(1)流体解析モデルの構築の中で,新たに,高圧水供給口ノズルの数値表現を取り入れるなど,流体解析の安定化・高速化も達成した.さらに,実験においても従来の高圧水供給ノズルに対する改善法も見つかっており,概ね順調と考える.
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今後の研究の推進方策 |
[高圧水を用いた深絞り加工] 現在の流体解析モデルでは,ダイスと材料問の流れを層流と仮定しているが,一部乱流が含まれていると考えられ,乱流項を取り入れた解析が必要となる. [更なる一般的な塑性加工への展開] 高圧水を用いない従来型の潤滑剤を用いた塑性加工への適用を考えると,潤滑剤の挙動を数値表現する必要がある.さらに,高速で材料が変形する場合には,流体解析における境界条件の見直しが必要である.これらの点について,弾性変形-流体解析の実績を持つ研究分担者や研究分担者のグループと相談しながら開発を推進する.
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