研究課題/領域番号 |
22360305
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
三原 毅 富山大学, 大学院・理工学研究部(工学), 教授 (20174112)
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研究分担者 |
田代 発造 富山大学, 大学院・理工学研究部(工学), 准教授 (80179689)
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キーワード | 積層圧電素子 / 空中超音波 / 宇宙ロケット機器 / インピーダンス整合 / マルチチャンネルパルサー / シミュレータ / 超音波可視化装置 / 非破壊検査 |
研究概要 |
今年度は、昨年までの積層素子作製の基礎研究を受けて、500KHzのPZT素子16枚の8チャンネル積層探触子、200KHzのPZT素子8枚の4チャンネル積層素子を試作し、8チャンネルバーストパルサーと組み合わせることで、単一素子の励振に比べ6-7倍程度の振幅の大変位超音波を送信できることを確認した。また小型固体ロケット燃料模擬材の計測を行い、基礎データを取った結果、周波数帯域の狭いバースト波よりも、超広帯域性を持つステップ励振による計測は、減衰の大きいロケット燃料の探傷に有効であることを確認した。この結果を受けて今年度は、8チャンネルステップパルサーを試作し、主に500KHz積層素子と組み合わせ、最大1m程度の大型のロケット燃料模擬試験体を計測した結果、1mの距離で裏面反射エコーが計測できるなどの有効性を示すことができた。これより、まず大振幅超音波送信システムの開発にめどが立ち、直接接触法による固体ロケットの燃料充填状態の評価手法としての実用性について、見通しを得ることができた。今後さらに、計測精度を確保するため、送信超音波波形の改善についても取り組む必要がある。また、空中超音波計測への応用については、セラミックス、石膏等のポーラス材料を準備し、音響インピーダンス整合層として用いることで送信音圧の向上を検討した。測定の結果、一定の音圧の向上が見られたが、定量受信波評価システムの改善等も含め、なお検討すべき点を残した。しかし前述した積層大変位超音波送信システムは、一応の完成を見たので、空中超音波計測と組み合わせた測定に着手できる体制が整った。また適用部位として、ロケット複合材料ケースの模擬材を準備した。さらに別途、棒状PZTを用いた低インピーダンス空中超音波素子についても、FEMを用いた解析を指針として試作を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
空中超音波計測は、予想通り大きな振幅低下と難易度の高さを確認したが、これを解決するための要素技術として、積層素子と多チャンネルパルサーを組み合わせた大振幅超音波送信システムの開発は順調に進んでおり、今年度は特に、超広帯域なステップ励振パルサーの試作に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発した、積層素子と多チャンネルパルサーを組み合わせた大振幅超音波送信システムと、空中超音波計測のための音響整合層技術を組み合わせ、従来の空中超音波計測と比較しながら、実機模擬材として宇宙ロケットモーターケースの剥離検査を進める予定である。 SN比が改善されない場合は、別途検討している棒状PZT素子技術についても組み合わせを考え、実機対応を図る。
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