昨年度に引き続いて、マグネシウム合金の高速変形挙動の解明に関する研究、および同材の爆発圧着に関する研究を推進した。 前者に関しては、爆薬利用では爆轟ガスの先行等によって光学計測が困難であったことから、新しく火薬衝撃銃に近接して高速度ビデオカメラを設置する方法を用いることで、高速飛翔するマグネシウム合金の型成形過程について側面からの近接連続撮影に成功した。これにあわせて、AUTODYNを利用した高速変形の数値シミュレーションも実施して、変形過程の詳細について明らかにすることを行うとともに、観測結果との比較を行った。 後者のマグネシウム合金の爆発圧着実験については、本年度は特にTiとAZ31マグネシウム合金の接合の可能性に関する接合実験を中心に研究を実施した。爆発圧着においては接合時の運動エネルギー損失を低減することが重要であり、水中衝撃波を用いる独自の方法を利用してそれを達成することを従来から行ってきたが、それでもTi/AZ31の接合境界には溶融層が認められることから、AZ31薄板の中間材を用いる爆発圧着法を用いることで、運動エネルギー損失をさらに小さくし、溶融層を概ね除くことに成功した。ただし、本プロセスでは材料内に強い応力波が伝わることに関係して、材料内に欠陥を生じる場合が時折生じたことから、使用するマグネシウム合金に軟質材(焼鈍材)を用いるなど、一定の配慮が必要であることも明らかになった。
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