研究概要 |
本研究の目的の一つに摩擦撹拌インクリメンタルフォーミング専用加工機の開発があるが,加工機の設計のために加工する材料の強度を知る必要がある.そこで精密万能試験機を導入し,AZ系マグネシウム合金板,2000系アルミニウム合金板および純チタン板の引張試験を行い,加工機設計のための基礎データを得た. また,現有のNC工作機を使用してAZ系マグネシウム合金板,2000系アルミニウム合金板および純チタン板の成形条件を探索した.さらに成形したマグネシウム合金板,アルミニウム合金板および純チタン板の金属組織を顕微鏡観察を行った結果,マグネシウム合金とアルミニウム合金は結晶粒がナノサイズまで微細化しており,摩擦撹拌現象が発現していることが確認されたが,純チタンについてはほとんど結晶粒が微細化しておらず,摩擦撹拌現象が発現されていなかった.そのため,マグネシウム合金とアルミニウム合金は従来の加工法では成形が難しい形状にまで成形ができたが,純チタンについては従来の加工法と成形限界はほとんど変わっていなかった.純チタンについてはさらに工具の形状や回転数などを変更して摩擦撹拌現象が発現するような条件を引き続き探索する必要がある. 摩擦撹拌現象が発現した場合は,マグネシウム合金,アルミニウム合金板ともにスプリングバックが非常に小さくなるが,摩擦撹拌現象が発現しなかった場合は加工後のスプリングバックが大きく目的の成形形状とはならなかった.
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