研究課題
今年度は、(1)強磁場用加熱炉の製作とGaSbバルク単結晶の育成、(2)磁場による対流抑制効果の数値計算、(3)成長縞導入の条件決定、(4)In_xGa_<1-x>Sbの熱物性値測定、を行った。(1) 超伝導マグネット内に設置可能で、かつ6℃/cm程度の低い温度勾配を実現する強磁場用加熱炉を製作した。また面方位の異なるGaSbバルク単結晶を準備するために、回転引き上げ法を用いてGaSb(111)、(100)、(100)バルク単結晶育成を行なった。(2) 数値流体力学ソフトウェアFIDAPを用いて磁場下での対流の抑制効果を計算した。その結果、6テスラでの最大流速は磁場無しでの条件での値に比べて強く抑制されることが明らかになった。また、加熱炉や試料カートリッジの形状を考慮した伝熱計算を行い、熱パルス法の温度条件を最適化した。(3) TeドープInSbを溶液形成材とし、加熱炉のヒーター温度プログラムを最適化することで、InGaSbの成長結晶中に周期的かつ明瞭な不純物濃度縞を導入することに成功した。その結果、縞の形状から固液界面形状と界面位置、縞の間隔から成長速度、EPMAによる組成分布解析から縞近傍でのローカルな温度勾配を求められることを確認した。(4) In_xGa_<1-x>Sb融液の蒸発速度、粘性の温度依存性を融点から1100℃の間で測定した。また、同融液に対する石英、BN、カーボン及びC-103合金に対する濡れ性の変化を温度の関数として求めた。これらの値は従来報告されていないものであった。
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