研究課題/領域番号 |
22360316
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
稲富 裕光 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所・学際科学研究系, 准教授 (50249934)
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研究分担者 |
早川 泰弘 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (00115453)
木下 恭一 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所・学祭科学研究系, 主幹研究員 (10358749)
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キーワード | 結晶工学 / 結晶成長 / 応用光学・量子光工学 / 超精密計測 / 電子・電気材料 |
研究概要 |
今年度は、平成22年度に求めた実験結果に基づいて、InxGa1-xAsおよびInxGa1-xSb結晶を育成し、熱パルス法により成長縞を導入することで成長速度と組成変化を測定した。そして、InxGa1-xAs結晶成長において加熱初期段階のその場観察を行った。 (1)長さ50cmのInxGa1-xSb結晶を80時間程度で育成することに成功した。そして2時間に1回程度の間隔で時間幅が1分程度の熱パルスを与えて結晶を育成し、成長後の結晶の分析により成長速度と組成変化を測定した。その結果、本成長方法を適用することで、時間とともに成長界面の曲率が変化するものの、得られた結晶中のIn組成変動を0.5at%程度と極めて低く抑えることが出来ることを明らかにした。 (2)強磁場中用結晶成長育成装置を改良し、試料中の最高温度を950℃以上、最高温度勾配を20K/cm以上の加熱条件を達成した。この結果、当初予定したものよりも幅広い組成領域でのInxGa1-xAsおよびInxGa1-xSb結晶を育成する目処が立った。 (3)InxGa1-xAs溶液成長の初期過程をその場観察するために、稲富、阪田は既有の光学系の一部を改造し、 InxGa1-xAs結晶の成長界面の可視化に成功した。その結果、メルトバック過程における界面形状の変化と溶解量をリアルタイムで得ることが出来、当初の予想以上にメルトバック量が多いことが分かった。解析した結果、地上では溶質同士の密度差により浮力対流が発生し、原料結晶側と基板結晶側で溶解量が大きく異なることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要でも述べたように、InxGal-xAs溶液成長において対流効果により当初の予想以上にメルトバック量が多いことが分かり、そのために強磁場中での結晶成長のその場観察実験が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成22年、23年度で開発した実験装置、手法を用いて、対流と結晶面方位の相乗的影響を調べる。それらの実験で得た知見をもとに液相中の熱物質輸送及び成長カイネティクスを考慮した数値計算を行う。なお、InxGa1-xAs溶液成長のその場観察実験の進捗が当初の予定よりもやや遅れているので、試料アンプルの内部構成や温度分布等の結晶成長条件を最適化した上で、平成24年度も引き続き関連実験を行う。
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