研究課題/領域番号 |
22360321
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
須藤 雅夫 静岡大学, 工学部, 教授 (80154615)
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研究分担者 |
福原 長寿 静岡大学, 工学部, 教授 (30199260)
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キーワード | 燃料電池 / アニオン伝導膜 / プラズマ重合 / DMFC / アルカリ燃料電池 |
研究概要 |
本研究は薄い陰イオン交換膜を作製することにより膜抵抗を低減させることを目的とする。方法として、低温かつドライプロセスであり、モノマーの選択性が高く、様々な基材に薄膜が作製可能であるプラズマ重合法を用いた。そして、作製した膜の物性の評価を行っている。 本研究では、基材の孔径と重合時間が与える影響および、基材厚みと重合時間が与える影響を評価した。さらに、通常方法で作製した膜にホットプレス処理を施した膜の物性を測定し比較した。 FT-IR、XPSの結果から、4-VPとHFPの重合物が観測された。4-VP/HFP=4/1であり、10min以上プラズマ重合を行う場合重合物の特にピリジン環の劣化が確認された。TGAの結果から、130-180℃で4級化ピリジンの劣化が確認された。また100℃以下ならば熱に対して安定であることも確かめられた。孔径の影響について、小孔径の基材FilmA、C、では、重合時間が5min以上で表面が被覆され、それ以上では重合物が積層していく。大孔径の基材では、15min以内では基材内部への重合が進行し、表面の重合物が基材を被覆した段階で積層することが確認された。このため、メタノール透過の抑制では小孔径の基材が有効(小孔径基材FilmA-30min:0.05×10-6cm2/s、大孔径基材FilmB-30min:0.40×10-6cm2/s)である結果となった。逆に基材骨格表面に重合物生成した大孔径基材の膜は保水性に優れ(FilmA-30min:49.7%、FilmB-30min:71.8%)およびそれに伴う伝導度(小孔径基材FilmA-30min:22.6mS/cm、大孔径基材FilmB-30min:74.0mS/cm)の点では大孔径膜のほうが優れた値を示した。発電実験についても、5min重合した膜について比較した結果、SCC、MPDともにFilmBが優れた値を示した。これはKOHを含有する環境下にあって伝導度が優れたと考えられる。基材厚みの影響について、FilmAとFilmCで比較を行った。伝導度は薄い基材のFilmCが優れた値を示した。メタノール透過性に差は見られず、メタノール透過の制御は重合物の状態に依存するものと考えられる。輸率の結果について、10min以上重合することで0.84以上の値が得られることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
プラズマ重合条件、基材の最適化、充填のためのプレスなどが実施され、DMAFCの発電性能も向上した。
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今後の研究の推進方策 |
OHイオン湯率の向上、膜伝導度の向上を実施する。膜断面観察を実施する。市販アニオン膜を凌駕する膜及びアルカリ耐久性に挑戦する。
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