研究課題/領域番号 |
22360331
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
足立 元明 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (40100177)
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研究分担者 |
木下 卓也 大阪府立大学, 工学研究科, 助教 (90453141)
津久井 茂樹 大阪府立大学, 工学研究科, 准教授 (40207353)
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キーワード | ナノ粒子 / 燃料電池 / 電解質膜 / 噴霧熱分解 / 固体酸化物 |
研究概要 |
本研究では、申請者らが最近発案し、その開発に成功したカーボンナノ粒子添加噴霧熱分解法を用いて固体酸化物燃料電池材料ナノ粒子の合成を行い、合成した粒子を用いスピンコーティングによる固体酸化物燃料電池薄膜の形成を試みる。2年目のH23年度は、研究実施計画に基づき次の3点を実施した。 (1)破砕が容易な高空隙率をもつ多孔質Gd_<0.1>Ce_<0.9>O_<1.95>サブミクロン粒子を合成するために、表面状態、サイズの異なる市販のカーボンナノ粒子について検討をおこなった。その結果、表面を親水基で修飾したカーボンナノ粒子が最も本手法に適していることがわかった。次に、その粒子を用いたときの合成最適条件を明らかにするため、反応管温度、余熱温度、キャリアガス流量、噴霧量、原料液濃度、カーボン添加量を種々に変えて実験した。その結果、高空隙率Gd_<0.1>Ce_<0.9>O_<1.95>サブミクロン粒子の合成条件が明らかになった。 (2)破砕実験の評価方法を確立するため、合成された多孔質Gd_<0.1>Ce_<0.9>O_<1.95>サブミクロン粒子の蒸留水に分散し、操作条件を種々に変えて液相ボールミルで粒子を破砕した。この破砕前後の粒子の液相中での粒度分布をDynamic Light Scattering(DLS)で測定することで液相ボールミル破砕の定量評価ができることを明らかにした。 (3)5時間のボールミル破砕により多孔質Gd_<0.1>Ce_<0.9>O_<1.95>サブミクロン粒子を粒径約20nmのナノ粒子に粉砕できることが明らかになった。このナノ粒子の粒子径は粉砕前の多孔質サブミクロン粒子のXRDパターンより求めた結晶子径とほぼ同じ大きさであった。 (4)得られたGd_<0.1>Ce_<0.9>O_<1.95>ナノ粒子分散液を用いてスピンコーティング実験をおこない、基板へのナノ粒子膜の作製が可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本テーマの応募時に作製した研究計画調書ではH23年度にスピンコーティングによるナノ粒子薄膜の作製をその計画目標としており、予定通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
Gd_<0.1>Ce_<0.9>O_<1.95>ナノ粒子の合成方法が確立したため、スピンコーティングによる厚さ100nm程度のナノ粒子薄膜の形成条件の確定とナノ粒子薄膜のアニールによる緻密化およびその緻密膜のガス透過性、イオン電導率測定評価を行う。現在、研究は極めて順調に進んでいるが、万が一、今後行う膜の評価(膜の緻密性、イオン電導率)が十分な性能を示さない場合は、粒子合成条件にまで遡ってシステム全体の再検討を行う予定である。
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