研究課題/領域番号 |
22360332
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
寺坂 宏一 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00245606)
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研究分担者 |
植田 利久 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10151797)
藤岡 沙都子 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (50571361)
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キーワード | マイクロバブル / ゲルビーズ / 中空粒子 |
研究概要 |
本年度はマイクロバブルを含んだ機能性ゲル材料の創生と、マイクロバブルを核とした中空金属粒子の製造技術の開発を行った。 (1)マイクロバブルを含んだゲル材料の創生 機能性食品などに利用されているゲルビーズにマイクロバブルを封入し、比重調整できる技術を開発した。まずアルギン酸ナトリウム水溶液に過飽和にガスを溶解させる新しいマイクロバブル発生システムを開発した。これを用いて上記の水溶液中に大量に気泡を分散させた。このとき水溶液中に予め肥料や農薬となる成分や微粒子を懸濁させておき気泡と同時に浮遊させることにも成功した。このマイクロバブルを含むアルギン酸ナトリウム水溶液を所定流量でノズルを経由してカルシウム水溶液中に滴下しアルギン酸カルシウムゲルビーズを製造した。ビーズ径はノズル内径および通過流量から相関された。また含有気泡径はマイクロバブル発生システムの操作条件から調整できた。さらにマイクロバブルゲルビーズを乾燥させドライゲルビーズを製造した。乾燥後もビーズ中には多数の空洞が維持されていることを確認した。 本研究で開発されたマイクロバブルゲルビーズはウェットな菌体の固定化や肥料などの包括に利用でき農業や食品工業などでの応用が期待できる。 (2)マイクロバブルを核とした中空金属粒子の創生 マイクロバブルを利用した機能性材料として表面に金属膜を形成させた中空マイクロカプセルの製造を試みた。本研究では銀鏡反応を利用した。還元剤となるグルコース水溶液を新しく開発したマイクロバブル発生システムに仕込み、加圧によってガスを過飽和に溶解させ、減圧によってマイクロバブルを大量に発生させた。これをジアミン銀イオン水溶液中に導入し、銀ナノ粒子を生成させ、マイクロバブル表面に電気的に吸着させる方法を考案した。これにより銀殻マイクロバブルの製造に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していたマイクロバブル含有ゲルビーズの創生と中空メタルマイクロカプセルの創生に成功した。中空メタルカプセル製造技術については収率の向上の課題がある一方、マイクロバブルゲルビーズはドライ化によってより実用的応用範囲が広がった。以上より概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、引き続きマイクロバブルを含有した機能性材料の研究を行う。とくにマイクロスチームバブルを含有した光散乱材の創生および、内包したマイクロバブルのキャビテーションを利用したリポソームカプセルの割裂技術の開発の推進を検討している。
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