研究概要 |
本提案研究では申請者のこれまでの触媒設計戦略を技術基盤として、以下の(i)および(ii)の順序に基づいた触媒設計を行い、構造の制御された均一な活性点を有する不均一系触媒を創出することを目的とする。(i)単核の金属水酸化物前駆体を調製し、それらを前駆体として、pH、濃度、温度、溶媒の種類、などを変えることで溶存種を単核からクラスターまでその数、(結合様式なども含め)構造を厳密に制御し、(ii)制御された溶存金属種からの固定化もしくは沈殿(共沈)法などのバルクでの構造制御、により構造の制御された金属水酸化物触媒を創出し、このようにして設計した触媒を用いたグリーン有機合成反応系の開発を行う。本年度は、溶存状態を制御した銅水溶液より高分散担持された水酸化銅触媒を創製し、この触媒がアゾメチンイミンとアルキンの1,3-双極子付加環化反応およびアルコールをアルキル化剤としたアミン・アンモニアのN-アルキル化反応に対する優れた触媒となることを見出した。また、スズとタングステンから上記戦略により調製した複合酸化物が、アルキンの水和反応に対する優れた触媒となることを見出した。これらの反応は不均一系であり、触媒の回収は容易で、触媒は活性・選択性を低下させることなしに再使用が可能であった。また、これら以外にもポリオキソメタレート分子触媒の開発を行った。
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