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2011 年度 実績報告書

触媒膜による高濃度中性H2O2の選択合成

研究課題

研究課題/領域番号 22360337
研究機関東京工業大学

研究代表者

山中 一郎  東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (90240051)

キーワード触媒反応 / 過酸化水素 / 触媒膜 / 電気化学 / 酸素還元 / コバルト触媒 / 燃料電池反 / 混合導電性
研究概要

22年度研究で、H_2O_2生成活性点はCoN_2C_x構造であることを明らかにした.23年度は活性点モデルにしたがって,コバルト塩と各種含窒素配位子を用いて錯形成させ,炭素表面上に固定化して電極触媒を調製した.この新規電極を用いてカソードを作製し,燃料電池型反応器を用いて中性H202生成活性を評価した.その結果,1,10-フェナントロリン,ビピリジン,そしてこれらの誘導体を配位子に用いると中性H202生成活性が発現することを見出した.1,7-フェナントロリン誘導体や4,4'-ビピリジン誘導祭は不活性であった.含窒素配位子とコバルトとの溶液中での錯形成をUV-visで観察し,H_2O_2生成活性発現のためには窒素2座配位子のコバルトへの配位が必要条件であることを明らかにした.各種窒素2座配位子のうち,6,6'-ジアミノ-2,2'-ビピリジン(DABP)が最も効果的に作用することを見出した.このコバルトDABPを各種炭素担体に担持し,熱活性化温度コバルト担持量などについて適切化し,かつこれを用いたカソードの作製法について,コーティング法,スプレー法,そして混練法などを検討した.その結果,コバルトを0.1重量%ケッチェンブラック炭素担体に担持したたものを不活性ガス雰囲気下550℃で活性化した電極触媒が最も活性かつ選択的であり,95%の選択性でH_2O_2を生成することを見出した.また,これを気相成長カーボンファイバー基盤電極にコーティングしたカソードが最も活性であり,最大21%の中性H_2O_2水の合成に成功した.この反応成績は当初の研究目標を上回る成績であり,充分に目標を達成することができた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

23年度目標は,活性点モデルCoN_2Cx構造に従って,新規電極触媒を開発し,H_2O_2選択率90以上,H_2O_2濃度20wt%以上を達成することであった.これに対して,窒素2座配位子であるDABPを用いたコバルト錯体がH_2O_2生成の触媒前駆体であることを見出し,触媒調製条件の適切化,反応条件の適切化により,且202選択率95以上,H_2O_2濃度21wt%を達成できた.

今後の研究の推進方策

24年度は研究計画通り,ナフィオン・カーボン混合膜を作製して内部短絡型燃料電池反応器(膜触媒)の開発を実施する.この膜触媒と23年度に見出した電極触媒を組み合わせ,触媒膜による高濃度中性H_2O_2の直接合成を達成する.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Catalytic neutral hydrogen peroxide synthesis from O_2 and H_2 by PEMFC Fuel2011

    • 著者名/発表者名
      Toru Murayama, Satoshi Tazawa, Sakae Takenaka, Ichiro Yamanaka
    • 雑誌名

      Catalysis Today

      巻: 164 ページ: 163-168.

    • DOI

      DOI:10.1016/j.cattod.2010.10.102

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Study of Fuel Cell Reactor for Direct Synthesis of Hydrogen Peroxide Alkaline Solutions from H_2 and O_22011

    • 著者名/発表者名
      Ichiro Yamanaka
    • 雑誌名

      ChemSusChem

      巻: 4 ページ: 494-501

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Electrosynthesi s of Neutral H_2O_2 Solution from O_2 and Water at a Mixed Carbon Cathode using an Exposed SPE Electrolysis Cell2011

    • 著者名/発表者名
      Ichiro Yamanaka
    • 雑誌名

      Journal of Physical Chemistry C

      巻: 115 ページ: 5792-5799

    • 査読あり
  • [学会発表] Direct hydrogen peroxide synthesis at CoN_2Cx Electrocatalyst2011

    • 著者名/発表者名
      Ichiro Yamanaka
    • 学会等名
      14^<th> Asia Chemistry Congress
    • 発表場所
      Bangkok, Tailand(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-06
  • [図書] 触媒調製ハンドブック(担当:カーボンアロイ(熱活性化Co-TPP/C)触媒)2011

    • 著者名/発表者名
      山中一郎
    • 総ページ数
      566-567
    • 出版者
      エヌ・ティー・エス

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公開日: 2013-06-26  

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