研究概要 |
22年度研究で、H_2O_2生成活性点はCoN_2C_x構造であることを明らかにした.23年度は活性点モデルにしたがって,コバルト塩と各種含窒素配位子を用いて錯形成させ,炭素表面上に固定化して電極触媒を調製した.この新規電極を用いてカソードを作製し,燃料電池型反応器を用いて中性H202生成活性を評価した.その結果,1,10-フェナントロリン,ビピリジン,そしてこれらの誘導体を配位子に用いると中性H202生成活性が発現することを見出した.1,7-フェナントロリン誘導体や4,4'-ビピリジン誘導祭は不活性であった.含窒素配位子とコバルトとの溶液中での錯形成をUV-visで観察し,H_2O_2生成活性発現のためには窒素2座配位子のコバルトへの配位が必要条件であることを明らかにした.各種窒素2座配位子のうち,6,6'-ジアミノ-2,2'-ビピリジン(DABP)が最も効果的に作用することを見出した.このコバルトDABPを各種炭素担体に担持し,熱活性化温度コバルト担持量などについて適切化し,かつこれを用いたカソードの作製法について,コーティング法,スプレー法,そして混練法などを検討した.その結果,コバルトを0.1重量%ケッチェンブラック炭素担体に担持したたものを不活性ガス雰囲気下550℃で活性化した電極触媒が最も活性かつ選択的であり,95%の選択性でH_2O_2を生成することを見出した.また,これを気相成長カーボンファイバー基盤電極にコーティングしたカソードが最も活性であり,最大21%の中性H_2O_2水の合成に成功した.この反応成績は当初の研究目標を上回る成績であり,充分に目標を達成することができた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度目標は,活性点モデルCoN_2Cx構造に従って,新規電極触媒を開発し,H_2O_2選択率90以上,H_2O_2濃度20wt%以上を達成することであった.これに対して,窒素2座配位子であるDABPを用いたコバルト錯体がH_2O_2生成の触媒前駆体であることを見出し,触媒調製条件の適切化,反応条件の適切化により,且202選択率95以上,H_2O_2濃度21wt%を達成できた.
|