研究概要 |
本年度は, 無機酸化物表面における白金ナノ粒子形成機構ならびに白金ースズ合金ナノ粒子形成過程について検討を行った. 含浸処理後に酸化雰囲気、還元雰囲気、不活性ガス雰囲気それぞれにおいて試料を一定速度あるいは定温で処理し,このとき白金ナノ粒子が形成する過程について,in-situ 時分解XAFSと質量分析計を組み合わせ検討を行った.雰囲気によってナノ粒子形成過程は大きく異なり,含浸処理後、酸化雰囲気で処理することで分散性の悪い金属粒子が生成すること、還元雰囲気あるいは不活性ガス雰囲気で処理することで比較的分散性の良いナノ粒子が生成することが分かった。例えば,不活性雰囲気下では担体の格子酸素に由来する酸素と結合した中間体が生成するが,生成した中間体の安定性は担体によって大きく異なり,中間体の易還元性は同時に還元される中間体の数あるいは表面密度を変化させた結果,粒子径分布に影響することが分かった.また,担体の酸の強さが還元初期における白金ナノ粒子の形成過程に与える影響について検討を進めた. 担持白金触媒については,含浸処理後,酸化雰囲気を経ずに直接還元的な雰囲気で処理することでより分散性の高いナノ粒子が得られることから,この知見を利用し,脱水素反応に高い活性を示す担持白金ースズ合金触媒について酸化処理を経ない還元雰囲気下における合金ナノ粒子の形成過程を検討した.酸化雰囲気下では,白金とスズの遊離が進行し,合金ナノ粒子が得られなかった.還元雰囲気下では,合金ナノ粒子が形成するが、比較的高温が脱水素に有効なPt3Sn1合金の形成に必要なこと,過剰なスズ酸化物の存在がPt3Sn1合金の形成に重要であることが明らかとなった.
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