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2011 年度 実績報告書

昆虫細胞を用いた次世代ワクチンの高生産プロセスの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22360345
研究機関神戸大学

研究代表者

山地 秀樹  神戸大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40283874)

キーワード昆虫細胞 / 組換えタンパク質生産 / ウイルスタンパク質 / ウイルス様粒子 / ワクチン
研究概要

本研究では,有効で安全な次世代ワクチンであるウイルス様粒子の高生産プロセスを構築するための基盤技術の確立する.ウイルスの表面タンパク質の遺伝子を哺乳動物細胞で発現させると,ウイルス感染細胞と同様の生合成過程によりウイルス様の空の粒子が形成,分泌される.ウイルス様粒子は,ゲノムをもたず感染性がないため安全性が高く,また本来のウイルス抗原と同等の抗原性や免疫原性を示すことから,ワクチンや診断薬としての利用が期待されている.しかしながら,ウイルスタンパク質の哺乳動物細胞に対する毒性のため,収量が低いことが実用化を妨げていた.本研究では,未だ有効なワクチンが開発されていないデングウイルスをターゲットとして,昆虫細胞を用いたウイルス様粒子の生産を試みる.昆虫細胞において目的遺伝子を高発現可能なプラスミドベクターとして,我々が以前構築した,カイコ由来のアクチンプロモーターの上流にバキュロウイルス由来のトランス作用因子IE-1とエンハンサーHR3を配し,さらに薬剤耐性遺伝子を有するプラスミドを用いた.これにデングウイルス2型の表面タンパク質prMおよびEの遺伝子を挿入し,分泌生産性の高い昆虫細胞であるTrichoplesia ni由来のBTI-TN-5B1-4(High Five)にトランスフェクションして,抗生物質存在下で培養することにより,薬剤耐性を示す細胞を取得した.得られた細胞の培養上清をwestern blottingおよび酵素免疫測定法で分析したところ,安定形質転換細胞はE抗原を分泌生産していることがわかった.組換え昆虫細胞によるE抗原の分泌生産レベルは,報告されている組換えCHO細胞の10倍以上であった.また,ショ糖密度勾配遠心分離法により培養上清を分画して酵素免疫測定法により分析したところ,分泌生産されたEタンパク質は粒子構造を形成していることが示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

デングウイルスの表面タンパク質の発現レベルは,日本脳炎ウイルスに比べて低く,難航したところもあったが,おおむね順調に進展している.

今後の研究の推進方策

引き続き,高発現株の取得を検討するとともに,ウイルス様粒子を高生産可能な組換え昆虫細胞の培養条件の確立,アフィニティクロマトグラフィーやゲルろ過クロマトグラフィーによるウイルス様粒子の分離精製などについて検討を進める.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] 昆虫細胞-バキュロウイルス系によるウイルス様粒子の生産2012

    • 著者名/発表者名
      山地秀樹, 瀬川麻衣子, 中村匡崇, 勝田知尚
    • 学会等名
      化学工学会第77年会
    • 発表場所
      工学院大学(東京都)
    • 年月日
      2012-03-15
  • [学会発表] 昆虫細胞によるウイルス様粒子生産に及ぼす培養条件の検討2011

    • 著者名/発表者名
      成田和馬, 堀田有里, 南谷梓, 永菅尚, 勝田知尚, 山地秀樹
    • 学会等名
      化学工学会第43回秋季大会
    • 発表場所
      名古屋工業大学(愛知県)
    • 年月日
      2011-09-14
  • [学会発表] Efficient production of extracellular subviral particles of Japanese encephalitis virus by recombinant insect cells2011

    • 著者名/発表者名
      H.Yamaji, T.Nagasuga, Y.Takahashi, M.Nakamura, T.Katsuda, M.Kuwahara, E.Konishi
    • 学会等名
      IUMS (International Union of Microbiological Societies) 2011 Sapporo Congress
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道)
    • 年月日
      2011-09-13
  • [学会発表] Evaluation of extracellular subviral particles of dengue type 2 virus produced by insect cells for use as vaccine and diagnostic antigens2011

    • 著者名/発表者名
      M.Kuwahara, H.Yamaji, E.Konishi
    • 学会等名
      IUMS (International Union of Microbiological Societies) 2011 Sapporo Congress
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道)
    • 年月日
      2011-09-13
  • [学会発表] Secretory production of virus-like particles by recombinant insect cells2011

    • 著者名/発表者名
      H.Yamaji, T.Nagasuga, Y.Takahashi, M.Nakamura, T.Katsuda, M.Kuwahara, E.Konishi
    • 学会等名
      ESACT (European Society for Animal Cell Technology) 2011 Meeting in Vienna
    • 発表場所
      Vienna Hofburg Congress Centre, Vienna, Austria
    • 年月日
      2011-05-16

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公開日: 2013-06-26  

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