研究概要 |
昨年度までに50℃で活性を示す耐熱性亜リン酸デヒドロゲナーゼ(PtxD-R4506)の取得に成功した。そこで、当初の予定通り、PtxD-R4506を用いたNADH再生系の有効性評価を行った。抗ウイルス薬の前駆体として使用されるL-tert-ロイシン(LTL)は、ロイシンデヒドロゲナーゼ(LeuDH)によってNADHとトリメチルピルビン酸(TMP)から立体選択的な還元的アミノ化によって合成される。そこで、PtxD-R4506を用いたNADH再生系をこの反応と共役させて、LTL合成を行った。50mM TMP, 15U/ml LeuDH, 1.5U/ml PtxD-R4506, 0.5mM NAD, 75mM亜リン酸を混合し、45℃で反応を行ったところ、およそ3時間でほぼ100%のTMPがLTLに変換されたことが明らかになった。このことからPtxD-R4506のNADH再生系が、NADH依存性の酵素反応を進めるために有効であることが確認できた。次に、PtxD-R4506を発現する大腸菌を70℃で加熱処理し、NADH再生触媒として利用できるかどうか検討した。70℃で10分間熱処理した菌体を用いて亜リン酸依存的なNADH生成を測定したところ、ほとんどNADHが検出されず、酵素が失活したと考えられた。そこで、処理温度の条件検討を行った結果、50℃,10分の熱処理により、活性を示すことが明らかになった。今後このホールセル菌体触媒を用いてデヒドロシキミ酸からのシキミ酸合成を行う予定である。
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