研究課題/領域番号 |
22360349
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
伊藤 伸哉 富山県立大学, 工学部, 教授 (90213066)
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研究分担者 |
牧野 祥嗣 富山県立大学, 工学部, 講師 (20347355)
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キーワード | 生体触媒 / メタゲノム / 進化分子アルゴリズム / 光学活性アルコール / スクリーニング |
研究概要 |
PARならびにLSADHの類縁酵素遺伝子(ホモログ)の土壌メタゲノムからPCR法による取得を行い、活性や基質特異性が異なるPAR/LSADHの酵素ライブラリーの作成に成功したが、遺伝子の重複も考慮すると、その数は十分ではなかった。そこで、増幅条件の最適化、クローニングのハイスループット化を検討し、DNAポリメラーゼの種類やPCRの反応条件をチューニングした。またハイスループット化には、In-Fusion PCRクローニング法を採用した。改良の結果、PARの類似遺伝子については、数百個のライブラリーが取得でき、約200について遺伝子を解析した。得られた約30個のPARホモログのアミノ酸配列データと基質特異性及び熱安定性との相関データを取得した。その結果、耐熱性に関与する数か所のアミノ酸残基を特定し、変異箇所の選択により、PARの熱安定性を著しく向上させることに成功した。また条件設定の難しかったLSADHの酵素ライブラリーの作成にも目途が立ち、LSADHのホモログ遺伝子約20個が得られた。 本研究の目標は、ランダムな変異とスクリーングという極めて手間のかかる作業を必要とする進化分子工学の手法を、メタゲノム由来の酵素遺伝子の配列情報(各々のアミノ酸配列と活性や安定性との相関関係)に代替し、汎用性の高い進化分子プログラムを開発する点にある。今後、PARのメタゲノムライブラリーから得られたホモログ酵素の熱安定性データを基に新しいアルゴリズムの作成を行い、これらを生体触媒プロセスの改良に用いる予定である。またLSADHの酵素ライブラリーについては、基質特異性の変化や極性有機溶媒中での耐性を指標に、同様の検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PAR/LSADHともにメタゲノムからのホモログ遺伝子の取得に成功した。またPARホモログについては、これらの情報を基に、アミノ酸配列と熱耐性の関係も明確となり、実際、酵素の耐熱化にも成功した。LSADHのホモログ取得には時間が掛かったが、これについても目途が立ったことから、研究計画はおおむね順調に進展していると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
概ね研究計画通りに進んでいることから、PARについては酵素の熱耐性の向上と、この情報を基にした進化分子アルゴリズムの作成を進める。LSADHについては、メタゲノムからのアナログ遺伝子の取得と解析を続ける予定である。後者については、LSADHの活性の低い基質の変換反応覚イソプロパノール耐性を指標として、メタゲノムからのホモログ酵素遺伝子スクリーニングの有効性を証明する。
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