研究課題/領域番号 |
22360354
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小林 明 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (70110773)
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研究分担者 |
脇 裕之 岩手大学, 工学部, 准教授 (30324825)
小紫 公也 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (90242825)
安藤 康高 足利工業大学, 工学部, 教授 (60306107)
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キーワード | ガストンネル型プラズマ溶射 / 反応溶射 / TiN膜 / YSZ膜 / LaZrO膜 / 耐摩耗性 / 耐食性 / 超耐熱材料 |
研究概要 |
本研究では、独自の超高温・高エネルギーのガストンネル型プラズマ溶射により、高機能・高密度TiN(窒化チタン)-セラミックス(ジルコニア、アルミナ)複合膜を作製し、2000K級の超耐熱材料として膜特性を評価することを目的としている。さらに、この高密度TiN複合膜の耐熱衝撃性、高温耐食性などの耐環境機能性を高め、宇宙・航空機部品への実用化を目指した開発研究を推進し、本年度は以下の成果を得た。 1.ガストンネル型プラズマ反応溶射により得られたTiN膜、およびTi膜、TiN複合膜について、それら溶射膜の断面組織をSEM、画像解析システムなどで観察するとともに、それらの耐摩耗性を計測した。Ti膜、TiN複合膜、TiN膜の順に耐摩耗性が向上し、約150μmのTiN皮膜については、SUS304と比較して80%の耐摩耗性の改善が得られた。 2.また、TiN膜、TiN複合膜についてNaClを用いた電気化学腐食試験の結果、TiN複合膜よりも、TiN膜のほうが耐食性に優れ、腐食電流はひと桁小さい値5.8×10^<-6>A/cm^2が得られた。 3.ガストンネル型プラズマ溶射、反応溶射法による超耐熱TiN-セラミックス複合膜の高速作製法を確立した。TiN-セラミックス複合膜の一例として、TiN-Ysz複合膜、TiN-Ysz傾斜機能膜を作製し、その組織・構造を調べた。また、組織改良による高温耐食性の向上とともに、TiNとYszとの結合性については、若干弱いため今後改善する必要がある。 4.ガストンネル型プラズマ溶射による高機能熱遮蔽膜の開発のため、ジルコニア(YSZ,CSZなど)とLaZrOの複合化を行い、耐熱衝撃性に優れる高機能セラミックス複合膜を試みた。Na_2SO_4とV_2O_3を用いた高温腐食試験では、傾斜機能YSZ-LaZrO複合膜が約60時間の寿命となり、YSZ膜、LaZrO膜の約2倍の耐食性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度のとりまとめを3ヶ月延長したため、若干の遅れが出たが、当初の計画どおり徐々に回復している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策については、研究目的が達成できるよう研究計画の変更を含み、年度内に研究が終了するように研究を推進するとともに、3年間の研究成果のとりまとめを行う。
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