研究課題/領域番号 |
22360359
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研究機関 | 愛知工科大学 |
研究代表者 |
中谷 一郎 愛知工科大学, 工学部, 教授 (40150049)
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研究分担者 |
大西 正敏 愛知工科大学, 工学部, 教授 (50410882)
茅根 直樹 愛知工科大学, 工学部, 教授 (60410883)
奥山 圭一 愛知工科大学, 工学部, 教授 (30442461)
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キーワード | 月探査 / 月面ローバ / セミ自律走行 / ロッカー・ボギー / レゴリス |
研究概要 |
欧米を中心に、月・惑星探査計画が進展し、火星ではすでにローバによる直接探査が進んでいる。また宇宙後進国である、中国やインドも月面探査を強力に進めている。本研究では、月面を探査するローバの基礎技術を開発し、上記の外国の情勢に遅れをとらないために、世界トップクラスの技術の開発を目標とする。また、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と協力して実際に月探査ミッションに用いるローバを目指し、そのために必要な基礎技術を確立することを目標とした。 本年度は4年計画の2年度にあたり、月面ローバの基本設計を終了し、走行系、制御系マニピュレータ系などのBBM(機能モデル)の第1次試作を完成させた。その結果、月面クレーターの中央にある2000m級の山に登り頂上で岩石などの資料を採取して着陸船に戻ってくることを可能とするローバ(LUBOT-1)のBBM試作を完了した。傾斜角25度の急峻な不整地を障害物を避けながら走行する設計とした。この研究は、JAXAとの共同研究に発展し、将来の月ミッションの探査機打ち上げを想定したより実践的な観点から、両者が共同して検討を実施した。 上記BBMを用いたさまざまな条件下での走行実験を繰り返し実施し、問題点を洗い出して改良を進めた。フィールドテストとしては、大学周辺の傾斜地形および砂浜での走行実験の後、月面のレゴリス環境に類似した、静岡県中田島砂丘における総合実験を2回、実施した。走行制御系としては地球局とローバの通信回線容量が限られることを考慮してセミ自律方式を提案し、BBMを用いた上記試験を通して良好な結果を得た。 また、月面の岩石などの資料を採取するマニピュレータは構造が簡単で操作も容易な方式を比較検討し、スカラタイプのものを試作し、試験を行った。これらの試作・試験の結果を総合的に評価し、改良モデルLUBOT-2の設計を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
月面探査ローバの諸特性を明らかにする概念設計をもとに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の実施した月面ロボットチャレンジのコンテストに応募して採用されJAXAとの共同研究に進んだ。さらに、それを進展させて、基本設計を実施し、機能モデル(BBM)の試作を行った。この結果は良好で、フィールド試験を繰り返し、実施することにより、基本機能の確認をすることができた。また、この試験結果を評価して、改良タイプのBBM-2号機の開発の目処を得た。また、このローバに搭載するマニピュレータや、制御運用系の開発も当初の予定どおりの成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
今後、月面ローバの不整地走行におけるサスペンション系のより安定な方式を実現するための改良の検討を進める。またその結果に沿って機能モデルの試作を実施し、実地走行試験を行って機能・性能の確認を進めることとしたい。従来のロッカー・ボギー方式に代わる新しい方式を提案し、パンタグラフ型サスペンション方式の性能を確認することとする。また、月面探査ローバの軽量化、省電力化などの検討を実施し、打ち上げの制約を想定したより現実的な開発を進めることとする。弾性車輪についても改良の検討をし、横方向の力に耐える機構の検討を進めることとする。
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