研究概要 |
本研究では、ホールスラスタにおいて3,000秒以上の高比推力と10,000時間以上の長作動寿命を同時に達成するために、性能測定実験、プラズマ物理量測定実験、寿命診断実験とプラズマ粒子法による数値計算を併用し、1.加速チャネルの材質を変更し壁近傍のシースプラズマ特性を変化させる、2.壁近傍の印加磁場の特性を変化させることによりイオンのチャネル壁面衝突を極端に防ぐことができる最適なイオン加速状態を実現することを目指した。 (1)推進剤にキセノンを用いて、放電電圧(200~1,200V(比推力3,000秒以上達成可能))と推進剤質量流量をパラメータとして変化させ、推力、放電電流、加速チャネル損耗量を測定した。得られた結果より、比推力、推進効率を求め、比推力3,500秒、推進効率6O%の達成を確認した。こうして定量的な検討を十分行うと共に、高比推力化、長寿命化のための最適なイオン加速過程が実現できる作動条件を探索した。 (2)3次元プラズマ粒子シミュレーションにより、ホールスラスタの放電室内部、特に加速チャネル壁近傍、及びその下流の噴出流の状態を調べた。放電状態、プラズマ生成・イオン加速過程、加速チャネル損耗状態を考察した。 (3)計算結果と昨年度得られた実験結果を比較検討、最適作動条件を最終提案し、ホールスラスタ実験機の改良点を決定した。
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