研究概要 |
本研究では、ホールスラスタにおいて3,000秒以上の高比推力と10,000時間以上の長作動寿命を同時に達成するために、性能測定実験、プラズマ物理量測定実験、寿命診断実験とプラズマ粒子法による数値計算を併用した。1.加速チャネルの材質を変更し壁近傍のシースプラズマ特性を変化させる、2.壁近傍の印加磁場の特性を変化させることによりイオンのチャネル壁面衝突を極端に防ぐことができる最適なイオン加速状態を実現することを目指した。 1.アノードレーヤー型ホールスラスタを新たに試作し高電圧作動実験を行った。推進剤にキセノンを用いて、放電電圧(200~600V)と推進剤質量流量をパラメータとして変化させ、推力、放電電流、加速チャネル損耗量を測定した。得られた結果より、比推力、推進効率を求め、比推力2800秒、推進効率40%の達成を確認した。こうして定量的な検討を十分行うと共に、高比推力化、長寿命化のための最適なイオン加速過程が実現できる作動条件を探索した。 2.比推力は2000-2800秒の範囲であり、最も値が低かったのは放電電圧300V時であり、最も値が高かったのは放電電圧550V時であった。この時、推力60-80mNを記録した。推進効率は最大41.6%であり、これは設計の想定放電電圧が400Vまでであるため、それ以上電力を投入しても効率が悪化したことによる。 3.噴射プラズマ流は外側のアノードから融解したことから、外周方向発散していたと推測される。
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