研究概要 |
本研究の最終的な目標は,数百kgのペイロードを搭載して上部成層圏に滞空しその飛翔経路を制御可能な新しい飛行体を開発し,上部成層圏における科学観測・実験を運用上の制限や不安定な高層気象条件に拘束されることなく可能にする新しい手段を実現することにある。 本研究では,上記目標を推進するため,これまでの研究によって可能となった成層圏用耐圧大型軽量薄膜構造体を飛行母体としたときに,飛行制御を実現するために必要となる要素技術を確立し,搭載可能な飛翔制御システムを飛翔実証試験が可能なレベルで具体化することにある。本年度は,以下ように研究を実施し知見を得た。 最終的な飛翔実証試験用飛行体の目標仕様を決定し,放球方法を考慮し安全を確保した飛翔を可能にするための構造や仕様についての検討を行った。同時に飛翔試験の前段階の位置づけとなる地上飛翔試験用システムの構成および仕様を検討した。これらの検討結果をもとに,成層圏用推進装置を保持する機構を放球方法に影響を与えることのないインフレータブル構造によって実現するための手法を立案し,その概念を試験するための試作品を製作した。耐圧試験および静荷重試験を行った結果,この種の構造の実現性が高まった。また,より比強度の高い膜材の検討を開始した。一方,成層圏用推進装置の検討を行い,地上で相似試験が可能となるような実験装置を試作した。本装置を用いた性能取得試験を実施している。
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