研究課題
広範囲なスペクトルの解析を目的として,量子化学解析によりCO2およびCOの基底電子励起状態の振動・回転準位を算出し,これらの準位間の遷移による放射・吸収過程のモデル化を行った.更新された輻射解析コードを用いて,火星大気突入カプセルに到達する輻射加熱を評価した結果,カプセル全面では全加熱率の約20%程度の寄与が予想され,背面の圧力の低い領域では90%が輻射による加熱であることが予想され,輻射加熱の重要性が再認識された.輻射解析コードの検証のため,高速衝撃波管(HVST)を用いて火星模擬ガス中の強い衝撃波背後における真空紫外から近赤外までの放射強度の計測を行った.紫外から近赤外領域においてはダブルレーザーシュリーレン法による衝撃波速度,極短時間イメージング分光法,多点同時計測,および高S/N極短時間分光を駆使したスペクトル空間分布計測と衝撃波位置へのマッピングを行い,衝撃波背後の輻射強度スペクトル空間分布同時計測を実現した.7.0km/s, 1Torrの平衡領域において取得された絶対強度スペクトルと輻射解析コード連成流れ場解析の結果と比較すると両者はよい一致を示した.また高分散の真空紫外分光器を用いて真空紫外領域のCOおよびCからの発光強度スペクトルを取得した.サイクロトロンによって事前に絶対強度較正した重水素ランプを較正用光源として真空紫外分光システムの較正を行った.170nm以下においては自己吸収の影響が大きいためPlanckカーブとよく一致した.数値計算から求めたスペクトルにおいてはC原子からの発光のため実験結果よりも過大評価した.CO 4th positiveバンドの140~165nmのプロファイルをプランクカーブでフィッティングすることによって各速度における気流の平衡温度を推定すると計算結果より1~5%程度低くなるという結果が得られた.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Thermophysics and Heat Transfer
巻: 27 ページ: 30-41
10.2514/1.T3722
Transactions of the Japan Society for Aeronautical and Space Sciences
巻: Vo.56, No.2 ページ: 63-69