研究課題/領域番号 |
22360366
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
福場 辰洋 東京大学, 生産技術研究所, 特任准教授 (80401272)
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キーワード | 海洋 / センサ / pH / 深海 / ISFET / マイクロ流体デバイス / 現場計測 / マイクロバルブ |
研究概要 |
平成23年度はまず、ポンプ・バルブと半導体化学センサの集積化法の改良を行った。現場校正やサンプル前処理機能などを有する高機能なセンサシステムを実現するために必要なマイクロポンプ、マイクロバルブについて、選定と最適な集積化法について検討および評価試験を行った結果、信頼性の高いマイクロバルブの作製方法および集積法を確立した。これにより信頼性の高い現場校正機能の半導体化学センサへの集積化が可能となった。また、マイクロバルブの駆動圧力源として様々なマイクロポンプの使用を検討した結果、電気浸透流ポンプを用いる事で消費電力を最小限にし、かつ信頼性の高いバルブ駆動が可能であることが明らかとなった。また、pHセンサとしての高感度半導体CMOSセンサための制御基板及びそれを格納する耐圧容器として、これまでより小型のものを採用することによって、現場計測システム全体の大幅な小型化を実現し、また消費電力も低減することができた。海水サンプルの取り込みに用いるポンプには小型のDCモータポンプを採用し、油漬容器に格納することで海域での使用を可能にした。また、作製した小型のpHセンサシステムについて、高圧環境下における評価試験を実施した結果、30MPaまでの高圧条件下で運用可能であることが明らかとなった。加えて、pCO2等の多項目同時計測に向けて、それを可能にするための半導体センサとマイクロ流体デバイスの集積化の方法について検討を行った。その結果、シリコーンゴム製マイクロ流体デバイス及と計測に必須である参照電極としての塩化物イオン電極の簡便な集積化法を確立した。これにより参照電極及び半導体センサ部分を再利用しながら、マイクロ流体デバイスのみを交換することが可能になったため、多様な化学計測センサの開発の効率が飛躍的に高まった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究において、本研究で目指している半導体化学センサを用いた海洋現場型の計測装置について、まず信号累積型化学センサを応用することで、高感度化が可能であることを確認している。また、現場校正やサンプル前処理など、高信頼計測及び多項目計測を実現するための機能についても、マイクロ流体デバイスを用いることで、プロトタイプの構築と性能の実証に成功している。また、新たな計測項目についても継続的に検討と基礎的な評価試験をおこなってきている。以上の理由から、本研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに構築した現場型化学センサについて、現場海域における試験運用を実施する。特に、複数の化学センサを用いた差分計測と、それによる熱水プルームの検出を目指す。また、マイクロ流体デバイスについても、さらに信頼性を高める為、半導体化学センサへの集積法についても引き続き検討する。多項目同時計測については、pHに加えてpCO2(二酸化炭素分圧)の計測可能にすることを軸に研究を実施する。
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