研究課題
本研究では船舶バラスト水殺菌処理に関して新しい衝撃波殺菌技術開発を目指している。菌体に作用させる衝撃波は微小気泡群の崩壊運動により発生させるが、微小気泡群の運動を誘起させるための外部圧力導入が必要であり、特に衝撃的な圧力変動を与えることが効果的であると考えられる。本年度の研究では、空気中に衝撃波を発生させて水面に衝突させることで効率的に水中衝撃波を連続発生させるための装置開発を推進した。具体的には、(1)ネオジム磁石を使用して従来よりもピストン弁の駆動の高速化を目指した無隔膜衝撃波発生装置、(2)ピストン弁の運動方向を衝撃波管に対して垂直にし、開口前に助走部を設けることで高速化する無隔膜衝撃波発生装置、の二種を試作して性能評価を実施した。(1)の装置では、磁石の吸着力の計測データと装置内の圧力変動の数値予測から理論的な作動性能を導き出し、それに基づいて試作した装置による可視化および圧力計測実験を行った。その結果、生成できた衝撃波は予測よりもかなり弱いことが判明したが、ピストン材料やその重量、高圧室容量に関するいくつかの改善点を見出せたことにより本装置を実現できる確証を得た。(2)の手法では、高圧室圧力が比較的低圧の場合でも衝撃波管の高速開口に成功し、初期高圧室圧力比8の条件下でマッハ数約1.6の衝撃波を生成できることを確認した。さらに磁力アシストを組み合わせることでさらなる性能の向上も期待でき、水中衝撃波生成装置の基礎を構築できた。一方、気泡と水中衝撃波の干渉現象解明への数値的アプローチとして大型数値シミュレーション用の計算機システムを構築し、気泡界面を高精度且つシャープに捕獲可能な界面追跡法に基づく数値計算手法を作成した。
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