(1)前方配置型付加物付プロペラの性能試験 手持ちのプロペラにピッチの異なる5種類の前方配置型付加物を組み合わせ、九州大学の回流水槽において単独性能試験を行った。この際、それぞれの付加物のプロペラに対する周方向の取り付け角度を4通り設定し、前進係数0.6から0.8までの範囲で推力およびトルクを計測し、効率を求めた。付加物の省エネ効果を調べるため、付加物を取り付けないプロペラ単体の性能試験も行った。 付加物付きの試験によって、付加物のピッチやプロペラに対する周方向の取り付け角の違いがプロペラの推力、トルクに及ぼす影響が明らかとなった。本実験結果は後述する前方付加物付プロペラ性能計算法の計算精度検証にとって有益なデータとなる。 (2)前方配置型付加物付プロペラの性能計算法の開発と計算精度の検証 九州大学で開発したパネル法SQCMによる定常プロペラ性能計算法をベースとし、前方配置型付加物付プロペラの性能計算法を開発した。プロペラの前方に配置された付加物の後流渦がプロペラを貫かないように、付加物の後流渦の形状をプロペラによる誘導速度を考慮して流線追跡で求めた。 計算結果を(1)で得られた実験結果と比較したところ、本計算法は実験結果の定性的な傾向を捉えることができることが分かった。 (3)五孔ピトー管によるプロペラ後流場の計測 プロペラ単独性能試験(Propeller Open Test)用オープンボートの後方にプロペラを取り付けたぐいわいる「逆POT」状態で、五孔ピトー管を用いてプロペラ後方における流れ場の3方向速度成分の計測を行うシステムを構築した。 ここでは後方配置型付加物を対象として、付加物有り無しでプロペラ後流、特にバブ後方流場を計測し、後方配置型付加物によりハブ渦による周方速度が弱めらることを確認した。
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