研究課題/領域番号 |
22360368
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安東 潤 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (60211710)
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キーワード | 船舶工学 / 省エネルギー / プロペラ / 人工知能 |
研究概要 |
1.前方配置型付加物について (1)昨年度開発した前方配置型付加物付プロペラの性能計算法を用い、付加物のピッチやプロペラと付加物の間隔等のパラメータを種々変更することにより、性能が向上すると思われる付加物を4個選び、摸型試験を行った。 (2)模型試験の結果、4個の付加物いずれもプロペラと組み合わせると効率が低下した。昨年度の計算法は、付加物付プロペラの性能を過大評価するという問題があることが判明し、計算法の改善が必要となった。 (3)付加物の後流渦の変形を考慮し、さらにプロペラについてハブ渦を考慮することで計算法の改善を図ったところ、実験で得られた4個の付加物の影響が精度良くシミュレートできることが分かった。 (4)1の(3)に示した計算法によって再度、付加物のパラメータスタディを行ったが、性能が向上する付加物は得られなかった。そこで、当初の計画通り、前方配置型と共に研究対象としていた後方配置型付加物付プロペラの性能計算法の開発に着手することにした。 2.後方配置型付加物について (1)後方配置型付加物については既に設計法が考案されているため、まずは従来の方法により付加物を1個設計して模型試験を行い、プロペラ性能が向上することを確認した。 (2)1の(3)で開発した計算法をベースに後方配置型付加物付プロペラ性能計算法を開発し、実験結果と比較した。計算結果は実験結果と同程度にプロペラ性能が向上していることを確認した。 (3)2の(2)で開発した計算法とプロペラ設計支援ツールを組み合わせ、省エネ付加物付プロペラの設計支援ツールを開発した。本年度はプロペラの形状は固定して、プロペラ性能が向上するように付加物の形状を最適化する。 (4)2の(2)とは異なる手持ちの2つのプロペラについて後方配置型付加物の形状を最適化し、模型試験を行ったところ、プロペラ性能が向上していることが確認できた。来年度は、これらの形状を同時に最適化することで、さらなる性能向上を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロペラに取り付ける付加物の最適化のためには付加物付プロペラ性能計算法の高精度化が重要であるが、本年度は前方配置型付加物付プロペラ性能計算法および後方配置型付加物付プロペラ性能計算法の両方の高精度化が達成でき、付加物最適化の基盤となるツールを保有するに至ったのは大きな成果である。 前方配置型付加物についてはプロペラ性能を向上させるのが困難のように思われたので、後方配置型付加物に重点をおくことにするが、どちらか片方のタイプの付加物でもプロペラの性能が従来よりも向上すれば十分なので、研究の遅れとは考えていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は後方配置型付加物に重点をおき、プロペラと付加物の干渉を考慮して、当初の研究計画どおり後方配置型付加物とプロペラの両方の形状を同時に最適化する。
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