研究課題/領域番号 |
22360372
|
研究機関 | 広島商船高等専門学校 |
研究代表者 |
笹 健児 広島商船高等専門学校, 商船学科, 准教授 (10360330)
|
研究分担者 |
寺田 大介 水産工学研究所, 漁業生産工学部・漁船工学グループ, 研究員 (80435453)
塩谷 茂明 神戸大学, 大学院・先端科学研究融合環, 教授 (00105363)
小林 英一 神戸大学, 大学院・海事科学研究科, 教授 (90346289)
若林 伸和 神戸大学, 大学院・海事科学研究科, 教授 (60242351)
|
キーワード | 貨物損傷 / 船体運動 / 荒天航海 / 車両貨物 / 振動応答 / 波浪予報 / ラッシング / 加速度 |
研究概要 |
平成23年度は22年度に開始した現地観測を継続して実施し、22年度の冬季、23年度の春季、23年度の冬季における実船データの蓄積につとめた。データ計測は当初、船橋、船首、船尾で別々に実施していたが、船首および船尾の時刻はPCをもとに記録したものであり、時間経過とともにずれが生じてしまい、各データの同期がとれない問題が生じた。ここで各計測点を無線LANで接続し、船橋のPC(GPSにて時刻補正)との同期を取ることにより時刻のずれが生じないシステムを開発した。平成23年度の春季、秋季、冬季に数回の荒天に遭遇したデータを計測できたため、これらを中心に船体運動、船首尾の甲板加速度、仮想貨物のワイヤー張力の時系列データ(1時間単位)を統計解析した有義値、最大値の時間変化と相関関係を明らかとした。この結果、貨物に影響を与えると思われる鉛直方向の加速度は縦揺れと相関が強く、横揺れとは相関が低いこと、船首における縦揺れと加速度の相関に比べて船尾のそれは非常に低いことが明らかとなった。水平方向の加速度と縦揺れ、横揺れの相関を見たが、明確な関係を見いだすことはできなかった。一方、仮想貨物を固縛するワイヤー張力については縦揺れや加速度が顕著な時には増大している傾向が確認できるが、横揺れとの関係では大きくなっているケースとそうでないケースが存在している。1年間にわたってデータ計測を実施しているが、23年3月11日の東日本大震災による津波による影響にて通常航海に復旧するまで2ヶ月近くかかったこと、24年1月の入渠中の検査にて船のプロペラ軸に異常が見つかったことから現在運航休止している。ある程度のデータは得られているが、当初目標とした荒天航海のデータはまだ得られておらず、24年度の夏季から冬季にかけて観測を再開し、さらなるデータの蓄積と理論体系の確立を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予想した低気圧時の荒天航海におけるデータを計測しようとしたが、23年度は東日本大震災の津波被災の影響で通常航海に復旧するまで時間を要したこと、船体運動が顕著に卓越する現象が事例としてまだ少ないこと、24年1月の定期検査で船のプロペラ軸に異常が見つかり現在運航休止となっていることなどがあり、計画した現地観測に遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の課題としては以下の事項を推進する。 (1)現地観測を継続し、さらに有効なデータの計測につとめる。 (2)これまで計測したデータの統計処理結果をもとに、貨物への衝撃、ワイヤー張力を推定できる理論体系を過去の研究成果を参照しながら完成させる。 (3)波浪→船体運動→加速度→衝撃力の順番で予報できるモデルを完成させる。これによって、波浪予報の結果から貨物の最適な配置を検討できるシステムの完成となる。
|