研究課題/領域番号 |
22360374
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研究機関 | 独立行政法人海上技術安全研究所 |
研究代表者 |
伊飼 通明 独立行政法人海上技術安全研究所, 大阪支所, 専門研究員 (20373425)
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研究分担者 |
元田 慎一 東京海洋大学, 海洋工学部・海洋電子機械工学科, 教授 (10190969)
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キーワード | オゾン / 海水 / 腐食防食 / 伝熱機器 / 酸化皮膜 / 鋼材 |
研究概要 |
23年度は基礎実験として海水非循環型の鋼材浸漬実験装置を製作した。熱交換器は常時、新しい海水俳循環)が使用されるためである。(1)オゾンによる海水非循環による鋼材防食実験は、静岡市清水区にある東京海洋大学清水臨海実験実習所の設備を使用して行った。オゾンによる鋼材防食実験は、海技研(大阪支所)での海水循環実験と同じ試験片(寸法:20×9×6mm)と試験板(寸法300×210×0.5mm)の2種類を用いた。この実験から、下記のことが解った。海水非循環でもオゾンにより鋼材表面に皮膜が生成される。ただし、循環方式に比較して皮膜の生成が悪く、錆びる面積が大きくなる。(2)電位計測実験では、循環と同じくオゾン海水の電位が海水のみに比較して貴化する結果となった。 一方、海技研では、熱交換器のプレートは高温にさらされることから、(3)オゾンによる防食効果が高温海水(50℃)でも見られるかを海水循環方式で調べた。その結果、試験板の表面観察実験では、オゾンにより錆びの発生が抑えられることが解った。試験片の質量測定実験では以前行った水温(20℃と35℃)の防食実験と同じく海水のみに比較してオゾンにより質量減少(錆びない)が抑えられる結果が得られた。このことから、オゾンにより生成される皮膜は水温(10℃~50℃)の影響を受けないことが解った。(4)以前の実験から、オゾンにより生成される皮膜には、MgとCaが多く含まれていることが解っている。そこで、Mgを海水の3倍含有させたイオン水でオゾンによる皮膜生成の効果を調べた。1ヶ月の期間ではあるが、Mg特有の効果は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験は、予定通りに進んでいるが、交付申請時に海水非循環でも酸化皮膜が循環時と同程度生成されるであろうと期待していたが、やはり海水中に含まれる臭素が常時供給されることから非循環では皮膜の生成が遅いことが解ってきた。
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今後の研究の推進方策 |
海水非循環では、皮膜の生成速度が遅いことから、オゾン濃度を濃くする、海水へのオゾン注入方法を変更する、試験板の形状を変更するとともに試験板へのオゾン注入方法を変更するなどを検討する。
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