研究概要 |
本研究は、合成開口レーダー、マイクロ波散乱計及びメソ気象モデルWRFを組み合わせた洋上風力資源推定手法の確立を3年間の目標とし、これを達成するため本年度は以下に示す項目を実施した。1.海上風況推定に適したSARの選定(香西、連携研究者):ENVISAT/ASARのWide swathモード(画像幅400km,空間解像度100m)とImageモード(画像幅100km,空間解像度30m)、ALOS/PALSAR広域観測モード(画像幅350km,空間解像度75m)と高分解能モード(画像幅70km,空間解像度12m)、TerraSAR-X ScanSARモード(画像幅100km,空間解像度19m)の3種類5モードのSAR画像の海上風推定への適応可能性について比較・検討した。この内平塚を対象としたPALSAR広域観測モードは地上からの干渉波の影響が画像に見られたため、白浜周辺海域を対象とした高分解能モード画像を基に海上風速推定精度を比較した。その結果、PALSARはCバンドのASARより高いバイアス1.32m/s、RMS誤差2.66m/sを示すことが明らかになった。TerraSAR-Xについては、Xバンドレーダー後方散乱係数-風速変換アルゴリズムを開発中である。2.鉛直風速推定モデルの改良とWRFに基づく風況推定(大澤):本年度は、海面上10mの高さで得られるマイクロ波散乱計の風速について、メソ気象モデルWRFの計算値から得られた鉛直風速比率を利用することにより、風車ハブ高度(60m及び80m)の風速を算出した。外洋においては、WRFから得られた鉛直風速比率(U60/U10、U80/U10)は、Monin-Obukhov相似則に基づく風速比率と大きく変わらないことが分かった。
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