流体流動電磁法は、石油・天然ガスや地熱流体などの地下の資源流体の流れに伴って生じる電磁気現象を、地表面に置かれた多数の測点で同時観測することによって、資源流体の動的な挙動をリアルタイムにモニタリングするための電磁探査法である。地下の資源流体が流動すると、界面動電現象によって流動電流が発生することが知られている。また、流動電流が発生すれば、それに伴って磁場の変化も生じる。流体流動電磁法は、このような流体の流動によって生じる電磁気現象に基づいた全く新しいモニタリング探査法である。最終年度には次に示すハードウェアの研究とソフトウェアの研究を実施した。 流体流動電磁法では、地表面で電場2成分と磁場3成分を観測する必要があるため、流体流動電磁法専用の小型観測装置が必要である。また、各観測点で多点同時観測した大量のデータを、計測基地で一元的に管理する必要がある。そこで、小型のMIセンサを利用した3軸磁場センサと無線によるデータ転送機能を付加した計測システムを設計した。 流体流動電磁法は新しい方法のため、観測されたデータから流体の流動方向を推定するためのデータ解析法が確立されていない。そこで最初に、地下流体の流動によって生じる電流源分布から地表面での電場と磁場を計算するシミュレーションプログラムを開発した。このプログラムによって任意の点電流源分布によって生じる電磁場をシミュレートすることができた。また、このシミュレーションプログラムを基にして、地表面での電磁場データから地下の点電流源の電流値や位置を推定する3次元インバージョンプログラムを開発した。
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