研究概要 |
(研究目的)リサイクル社会が構築される以前に、使用済みで廃棄物最終処分場に埋め立てられた金属資源は莫大な量に上る。これらの賦存状況を鉱床学的視点から的確に把握して効率的な回収をめざすことを目的としている。 (研究方法)埋立年代や埋立物質が異なる最終処分場数ヶ所から採取したボーリングコアを用いて、埋立層中の重金属およびレアメタル含有量、その濃集プロセス、賦存する鉱物形態を明らかにする。一方、実験室において、焼却灰を充填したカラムを50℃の恒温槽内で嫌気性に保ち、鉱物形態がどのように時系列変化するかを調べる。さらに金属濃集ゾーンを非破壊で3次元的に特定するための探査・解析法を検討する。 (研究成果)主な結果を以下に記す。 (1)埋め立て掘削コア試料の分析の結果,Pb・Zn・Cu・CdおよびCr・Ni・Vにおいて、それぞれ類似した深度別濃度トレンドが得られた。SO3,Clの含有率は、深度が増加するに従い上昇する傾向を有する。また、SO3,Clの含有率が高いコアにおいて重金属濃度も高い。即ち、重金属類は、埋め立て層内で硫化物あるいは塩化物として存在、もしくは、Gypsum,Sylvite,Haliteなどの鉱物に付随して存在している可能性があることが推定された.そのほかのレアメタルについては現在分析中である。 (2)カラム実験において、実験開始後150日経過段階では、鉱物組成に大きな変化は認められない。しかし、時間経過とともに硫酸塩鉱物が増えていくものと推定される。 (3)処分場現場探査および実験室におけるピース実験により、電気探査の比抵抗法と強制分極法の併用が金属濃集ゾーンの特定に有用であることが示唆された。
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