研究課題/領域番号 |
22360382
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
香村 一夫 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10434383)
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研究分担者 |
内田 悦生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40185020)
円城寺 守 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70015890)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 再生可能資源 / 廃棄物 / 最終処分場 / 重金属 / レアメタル / 鉱床 / 電気探査 / 強制分極法 |
研究概要 |
日本では、1998年に家電リサイクル法が制定された。それ以前の家電類は破砕後あるいは未処理のまま、最終処分場へと廃棄・埋め立てされた。しかし、そのような処分場から排出される浸出水中にはメタル類はほとんど検出されない。即ち、メタル類は埋立層内にとどまっていると考えられる。また、埋立層内を浸透する水は多くの水溶性イオンを含有しており、さらに層内温度は有機物の分解により70~80℃に達するのが一般的である。このような環境下では、メタル類は層内を移動かつ濃集し、メタルリッチゾーンを形成している可能性がある。これらのことを解明するために以下のことを実施した。 (1)廃棄物最終処分場で採取したボーリングコアの分析・・・・5つの最終処分場埋立層で掘削されたコアに含まれるメタル含有量およびその化学形態について層相区分したコアごとに分析した。その結果、ある種のメタルにおいて、深度に伴う濃度変化パターンが類似していることが判明した。また、SO3濃度変化パターンと類似するパターンをもつ重金属が存在した。 (2)密閉タンク内に充填した焼却灰に含まれる鉱物の時系列的変化・・・・50℃の恒温槽内に検体タンクを数個静置し、一定期間ごとに1検体を取り出し、内部の物質に含まれる鉱物を分析した。8ケ月経過後の焼却灰試料では、Halite,Gypsum,Magnetite, Pyriteの新たな生成が確認された。 (3)メタル濃集ゾーンを非破壊で探査する手法の開発・・・・メタル濃度の空間的な分布がある程度判明している最終処分場埋立層において、比抵抗法および強制分極法による3次元電気探査を実施した。充電率プロファイルはメタル濃度の空間的分布状態と整合性を有していた。 本年度までの結果から、埋立層内の嫌気的雰囲気のもとでメタルは濃集していること、その濃集ゾーンを強制分極法による電気探査で特定できることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下のような事実から、順調に進展していると判断している。 (1)廃棄物埋立層内におけるメタル濃集メカ二ズムは、最終処分場埋立層掘削コアの分析および密閉タンクに充填した焼却灰の性状変化の検討から、次第に明らかとなってきた。とくに2012年度は、従来のICP装置やXRF装置による含有量分析・XRD装置による鉱物分析に加え、SEM-EDS装置を用いた化学組成分析や逐次抽出法によるメタルの存在形態の分析も実施した。これらの結果を総合すると、メタル類は埋立層内の嫌気的なゾーンに濃集している場合が多いことが判明した。 (2)もし埋立層内に濃集ゾーンが形成されるとした場合、それらをピンポイントで特定可能な非破壊の探査は、埋立層から効率的にメタル類を回収するための必須技術となる。最終処分場における探査実験および焼却灰を充填した土槽によるスケール実験の結果は、強制分極法で得られた3次元プロファイルがメタル濃集ゾーンを特定することに利用可能であることを示唆した。今後、より精密な実験を行い、手法の確立へとつなげる予定である。 (3)これまでの研究成果に関して、2012年度は国際学会4件、国内学会8件の発表を行った。とくに、研究代表者は、2013年3月に行われたIWWGーARB(国際廃棄物ワーキンググループ・アジア支部)のシンポジウムで2012年度の研究結果を講演し、優秀講演の一つに選ばれるともに、国際誌「Waste Management]への原稿執筆を依頼され、現在投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は研究の最終年度にあたる。年度前半で、3年間の研究から得られた事項の確認実験等を進め、後半は主として研究成果報告書の作成にあてる。 (1)本年度実施する現場実験・・・・過去3年間の結果より、埋立層内では時間経過に伴ってメタルの濃集ゾーンが形成される可能性が判明した。一方、最終処分場埋立層において、その濃集ゾーンを非破壊で探査する手法の検討も行っており、その結果から埋立層内におけるメタル濃集ゾーンの賦存位置を推定した。本年度は、この推定濃集ゾーン近傍2地点とメタル賦存の兆候がない1地点でボーリング掘削を行い、コアを採取する。それらの掘削コアを層相区分した後、それぞれの分割試料について、含まれるメタル種とその含有量、鉱物形態や化学成分などの分析を実施する。これらの結果と前年度までの結果を比較・検討しながら、「最終処分場が都市鉱山として有望か否か」についてまとめる。 (2)メタル濃集ゾーン生成メカニズムの解明・・・・本研究では、(1)で記したような現場実験と併行してつぎのような実験も行ってきた。具体的には、水で飽和した廃棄物を充填・密閉したタンクを数セットつくり、これらを50℃の恒温槽に保管した。そして一定期間ごとに各1検体づつ取り出し、内部充填物の性状変化を観察・分析してきた。これらは本年度も継続する。現場と実験室の研究成果をベースにして濃集ゾーン生成に関する総合的な検討を実施する。 (3)最終処分場に賦存するメタル種およびその含有量のデータベース化・・・・これまで研究対象とした最終処分場を、その埋立物から分類し、含有メタル類についてデータベース化を行う。これらは、「対象とした最終処分場が有望な都市鉱山とみなせるか否か」を判断する場合の一基準となるような形でまとめる。
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