研究概要 |
家電リサイクル法が適用される以前の処分場では家電製品等は粉砕あるいはそのままの形で投棄・埋立されていたが、そこからの浸出水にはメタル類はほとんど含有されない。即ち、それらは埋立層内に残存していることになる。そこで(1)メタルの種類と含有量・その賦存形態、(2)メタル濃集ゾーンを非破壊で探査する手法の検討、を実施し、「最終処分場の都市鉱山としての可能性」を検討した。2013年度に得られた成果は以下のとおりである。 (1)については、メタル類の層内での賦存状態を明らかにするために、F処分場のボーリングコア55試料に対して、ICP質量分析装置により含有メタルの分析を行った。さらに逐次抽出法を用いて形態画分を行った。各ボーリングコアについて深度に伴うメタル含有量を示すグラフを作成・検討した結果、類似したトレンドを示すメタルが存在した。しかし、全てのコアに共通する特徴とはいえない。一方、逐次抽出分析では、CuやPbで硫化物態や残留物態を示す試料が優勢である。また、Niは様々な画分に分散する試料が多い。埋立層内でのメタル類の挙動の詳細については未解明な部分が残る。現在、恒温槽のなかで埋立層の模擬カラム実験を行っておりその結果が待たれる。また、含有希少金属としてNi,Ga,Se,Sr,In等の含有が特筆される。 (2)については、2012年度までの成果から、強制分極法による電気探査がメタル濃集ゾーンを特定するために有効であることが判明している。2013年度は、F処分場において新たな測線を加えて探査・解析するとともに、測定区域内3地点でボーリング試料を採取し、Fe・Al・その他の金属について含有量を測定した。野外探査で得られた充電率とコア試料中のFe含有量には密接な関係がある。これらの結果をコアを用いたピース実験で裏付けるとともに、含まれるFeと希少金属の量的関係についての検討も行った。
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