研究課題
タングステン(W)をITERやDEMOのダイバータ等の核融合炉材料として使用する場合の最大の問題は再結晶脆化と照射脆化である。これらの脆化を克服するために、研究代表者らは昨年度までに、粒界すべり(超塑性)を活用した新しい組織制御技術(高靱性化処理技術)の開発により、再結晶状態で粒界が著しく強化され、室温で曲げ延性を示すTFGR(Toughened, Fine Grained, Recrystallized)W-1.1%TiCとW-3.3%TaCを作製した。最終年度となる平成24年度は、まず、この新しい組織制御技術実用化のために製造方法の効率化を図り、確立した。次に、研究の日が比較的浅いW-3.3%TaCについて、W-1.1%TiCに比べての最大の魅力である優れた耐熱性を実験的に検証した。一方、トリチウム等の水素同位体の溶解度が最も低いWにおいても、高エネルギーの中性子・イオン等のはじき出し損傷により形成される格子欠陥(照射欠陥)が水素同位体の捕獲サイトとして作用し、水素同位体の滞留量(リテンション)が著しく増加することが最近、大きな問題になっている。TFGR W-1.1%TiCは、照射欠陥のシンクを高密度で含むため、水素同位体のリテンションを抑制することが期待される。そこで、TFGR W-1.1%TiCに高エネルギー重イオン(銅イオン)を照射した場合の水素同位体のリテンションをTDS装置により測定して市販の純Wの結果と比較検討した。その結果、重イオン照射の前では純Wの重水素リテンションがTFGR W-1.1%TiCよりも少なかったが、重イオン照射の後では、両者の関係は逆転し、照射量(dpa)が増すほど両者の差が増大した。この結果は、TFGR W材料の核融合炉材料としてのさらなる有効性を示すものであり、極めて重要である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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