研究概要 |
低アスペクト比RFP装置RELAXにおいて見出されたヘリカル平衡RFP配位(立体磁気軸をもつRFP配位)への遷移現象のダイナミクスを解明しプラズマの性能評価を行うために,多チャンネル軟X線(SXR)検出器アレイからなるSXR放射強度分布計測器を開発した.RELAXのヘリカルRFP配位でSXR放射強度が周辺よりも高いヘリカルコアが存在し,放射強度分布の勾配が大きい輸送障壁の存在を示唆する結果が得られた.プラズマのコア領域の電子閉じ込め特性を解明するためにYAGレーザーを用いたトムソン散乱測定装置を開発し,中心電子温度の測定を行った.プラズマ電流が60-100kAの領域において中心電子温度は電流値とともに上昇し,プラズマ電流~100kAで100-150eVに達した.電子密度は1019m-3の領域にある電子密度の計測精度をあげるために,140GHzミリ波干渉計の開発を進めている.これらの計測器によりプラズマ閉じ込め特性の評価が可能となった.RFPプラズマの高性能化のために,真空容器の真空シールとポロイダルギャップ部を兼ねるフランジの形状を改造してポロイダル抵抗を約2倍に上げて,特にトロイダル磁場反転時にフランジを流れる(局所的)ポロイダル電流の低減化を図った.さらに,抵抗性壁不安定性(RWM)のフィードバック制御系を整備し,電源の増設を行った.フランジの改造によってトロイダル磁場の軸対称性が改善され,ヘリカル平衡RFP配位の持続時間が大幅に伸長した.RWMの安定化実験に着手し,初期実験で放電持続時間の伸長(~20%)を観測している.これらの磁気的境界条件の改善・制御によって,高プラズマ電流放電(~125kA)が可能となった.平成24年度はこれらを駆使して高性能の低アスペクト比RFPプラズマの実現を目指す.
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今後の研究の推進方策 |
RFPプラズマのヘリカル平衡配位への遷移過程の研究は,平成23年度に整備されたSXR放射強度分布計測器と,現在解析プログラムを作成中のCTの手法を組み合わせ,さらに核融合科学研究所(NIFS)のLHD計画共同研究として研究開発を進めている3次元SXR画像計測法を併用することにより,推進する.プラズマの高性能化のための能動的制御法では,磁場境界条件制御の最適化を引き続き推進するとともに,平成23年度にハードウェアを整備した超音速ガスパフによる高密度化実験を推進する予定である.プラズマ性能評価に必要な140GHzミリ波干渉計は,NIFS共同研究の一環として整備を進め,データ採取を可能とする予定である.
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