研究課題/領域番号 |
22360391
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
永田 正義 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00192237)
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研究分担者 |
福本 直之 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (90275305)
菊池 祐介 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (00433326)
神吉 隆司 海上保安大学校, 教授 (40524468)
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キーワード | 球状トカマク / 同軸ヘリシティ入射 / 電流立ち上げと駆動 / プラズマ流 / 緩和現象 / 乱流輸送 / 2流体効果 / シアフロー |
研究概要 |
プラズマの乱流的な電磁流体力学的挙動による磁場の自己発生は、天体宇宙においてユニバーサルに観測されている。このダイナモ現象を実験室内核融合プラズマにおいて再現し、その発生機構を詳しく調べ、さらに制御することで核融合閉じ込め研究に貢献することができる。本研究は、革新的な核融合磁場閉じ込め方式である兵庫県立大学球状トーラス装置(HIST)を用いて、マルチヘリシティ入射による電流駆動実験を行い、そこで観測されるダイナモ構造形成の解明を行うことが目的である。 本年度は、電流駆動過程で観測されるダイナモ磁束増幅現象を詳しく調べることを目的に、マッハプローブと磁気プローブを組み合わせた3軸方向ダイナモマッハプローブ、および3軸方向ホールダイナモプローブといった独創的なダイナモプローブの開発を行った。ヘリシティ駆動プラズマの時間発展は電流駆動と抵抗減衰の二つの過程で特徴付けられる。抵抗減衰過程におけるセカンドパルス入射時、平衡配位を壊さず、プラズマ電流の増幅と維持を実証できた。駆動過程において、60~80kHzの磁気揺動とそれに強く相関したイオンフロー揺動の励起を観測した。フローの空間分布計測から、オープン磁束と閉じた磁束領域の境界付近において、急峻な密度勾配によるイオンの反磁性ドリフトがつくるポロイダルフローシアの形成を新しく観測した。この磁場とフローの揺動から平均Electromotive力を評価した結果、MHDダイナモ電場形成がトロイダル方向の電流駆動に寄与していることを示唆した。また同時に行ったホールダイナモ計測と比較し、オープン磁束領域の密度の高い領域ではイオンと電子の2流体効果が電流駆動機構に関与していることを示唆した。 以上から、初年度であるが、高閉じ込めと定常維持の両立性の実現を目指したマルチパルスヘリシティ入射法の有用性を確認し、ST研究におけるフローの役割の探求とダイナモ電流駆動機構の解明につながる研究成果が得られた。
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