研究課題/領域番号 |
22360394
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
徳沢 季彦 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (90311208)
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キーワード | テラヘルツ / プラズマ・核融合 / プラズマ計測 / 光伝導アンテナ / フェムト秒レーザー |
研究概要 |
本研究の目的は、将来の超高密度高温核融合プラズマにおいて、その電子密度に関する情報を得る計測手法を確立することである。想定されている核燃焼炉における単位体積あたり10^<21>個を超える電子密度を持つ超高密度プラズマを、中性子対策のために制限される狭小な視野から高い空間精度で計測するためには、マイクロ波からテラヘルツ領域までの周波数成分をもつ広帯域な電磁波成分を満たす光源として期待できるレーザー光励起テラヘルツ波パルスによる時間領域分光法を高温プラズマ計測に適用することを目指している。本年度は、高温プラズマ計測への適用のために必要な開発試験を実施した。将来の核融合炉では、計測機器は連く離れた位置に設置する必要があり、そのためプローブ光であるテラヘルツ波を長距離伝送する必要がある。その技術開発として、波長分散の少ない光ファイバーとそれに適切な波長の1.5μmのレーザー光を用いたシステムの構築を行った。光ファイバーによる分散の効果は、時間領域においてはパルスのブロードニングとして評価できるため、これを計測するためにスキャンニングオートコリレータを選定し購入した。しかしながら、実施準備中にファイバーレーザーの故障が発生したため、このシステム系の最適化に関しては次年度に持ち越しとなった。また、時間領域分光法に高時間応答性を付加するために、バンドパスフィルタで一定の周波数帯毎に信号を弁別し受光するシステム系を試験した。その結果、ピコ秒のテラヘルツパルスから、帯域数10GHzで、信号を弁別できることを確認した。これによりほぼ実時間におけるテラヘルツ波計測の可能性が得られた。この世界に類のない新しい計測手法を早期に実証する上で、解決すべき課題点が明らかになり、今後の開発の方向性を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
おおむねには順調であるが、本研究で開発を行っているテラヘルツ時間領域分光法において、非常に重要なコンポーネントであるテラヘルツ波励起用のファイバーレーザーの故障により、実施予定であった実験計画に若干の遅れが生じている。ただし、現在、既に修理は完了し、研究期間内においては当初の計画研究内容は予定通り実施可能である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、プラズマ実験への適用を目指したシステムの構築を行う。まず伝送光学系の確認試験を行い、テラヘルツ波フェムト秒パルス発振ファイバーレーザー光を光ファイバーで伝送した時に生じる分散効果を抑制するシステム系を構築する。テラヘルツ発振源となる光伝導アンテナへの高速強バイアスドライブ制御回路を構築し、変調周波数の最適化を図る。その他、開発試験を行った後、基礎プラズマを対象としてテラヘルツ波透過/反射計測を行い、高温高密度プラズマ実験への適用性について評価を行う。
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