研究概要 |
研究開発の最終年度に当たる今年度は合成条件の探索を進めるとともに、合成したCVD単結晶ダイヤモンドから作製した放射線検出器の現状における性能評価を加速器等も使用して行った。 合成装置が高出力条件で安定することから、高いプラズマ密度での合成と従来の低出力条件で合成した結晶の比較を行ったが、予想に反して低出力条件で合成した結晶の方がカソードルミネッセンス測定、電荷キャリア輸送特性評価において優れた結果となった。これは前者の方が相対的に合成速度が速く、点欠陥もしくは構造結果が結晶中に出来たためと考えられる。このため特に正孔に対する電荷キャリア輸送特性が劣ることが分かった。低出力条件、メタン濃度1%で合成した結晶は優れた特性を示し、μτ積は正孔:1.5×10^-4、電子:9.6×10^-6cm^2/Vを達成した。正孔についてはダイヤモンドのベストデータと同一オーダーに入っている。電子の電荷キャリア輸送特性が正孔と比較して劣っている理由として、合成装置の大気リークにより窒素不純物による捕獲準位が形成されたことによる影響の可能性が極めて高い。この点については今後、装置の改造などが必要となる。 製作した検出器の14MeV中性子応答関数測定を行ったところ、12C(n, alpha)9Be反応によるピークの半値幅3.5%を達成した。また高速電子に対する時間応答測定を試みたところ、半値幅350psの時間応答を達成した。
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