水冷却の高速炉心に水素化ジルコニウム層を含むブランケットを配置した高速・熱中性子結合炉心を対象にSRACコードにより3次元炉心燃焼解析を行った。 水冷却による高増殖炉心の研究は単なる炉物理解析ではなく、炉心としての現実的な設計条件を定め、それを満たす条件下で実施する必要がある負の冷却材ボイド係数、反応度や適切な燃焼度など、成立性があり、現実的に意味のある炉心で高増殖がどこまで可能かを追求した。炉心設計の制約条件としては線出力密度、負の冷却材ボイド反応度係数を採用した。 具体的には水素化ジルコニウム層を2層含むブランケットがシート燃料を取り囲むように置いた対称な高速-熱中性子結合炉心構成について計算を行った。ブランケット部とシード部の中性子スペクトルや核分裂性プルトニウム残存率、中性子倍増率などを燃料棒径やブランケット集合体数をパラメータとして計算した。 プルトニウム残存率はブランケットが1層より2層とした構成の方が高く、また燃料棒径が太いほど高くなった。ブランケットの中性子スペクトルにおける熱中性子の割合は冷却水密度が高いか低いかでかなり大きく変動する。水素化ジルコニウム層のブランケット中の配置位置は冷却材ボイド反応度にはあまり影響しないが、中性子倍増率は大きく変化し、高速・熱中性子結合の程度が水素化ジルコニウム層の配置によって大きく変化することがわかった。 次年度は今年度の結果をもとに燃料体積比をさらに増加した燃料集合体を対象にさらに解析をすすめる。
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