スーパー高速炉(超臨界圧軽水冷却高速炉)の核設計ではボイド反応度を低減するために水素化ジルコニウム(ZrH1.7)層を含むブランケット集合体を分散配置した炉心が用いられている。炉心設計はSRACコードで行われているが、ZrH1.7層周辺で発生した熱中性子が高速炉心に空間的に分布して存在するという従来にはない特徴がある。高速・熱中性子結合炉心をSRACで核設計する場合の計算精度についてMVPコードを参照解として検討し、その結果を元に断面積作成方法の改良を行った。次に周囲の燃料集合体の影響を考慮したセル均質化マクロ断面積の再構成手法の検討を行った。 まずZrH1.7付ブランケット集合体は集合体単位で断面積を作成し、ZrH1.7は層体系ではなく棒状体系に近似して計算する必要があると分かった。 ZrH1.7付ブランケット集合体数が異なる4種類の炉心について炉心計算を行った。実効増倍率は炉心内ZrH1.7の量に関わらず常に過小評価しており、ボイド反応度はZrH1.7付ブランケットの少ない炉心では過大評価、ZrH1.7付ブランケットが多い炉心では過小評価している事が分かった。 高速・熱中性子結合炉心は炉心の非均質性が高いため、集合体断面積を作成する際に周囲の集合体の影響を取り入れる必要がある。集合体無限セル計算と集合体無限セル計算で作成した断面積を用いた炉心解析結果を組み合わせて、隣接する集合体間の核的非均質性の影響をセル均質化マクロ断面積に反映させた炉心解析を開発した。 この手法はSRACで作成する断面積は炉心の形状に関係なく、無限格子計算を一度行うだけで良いため、汎用性があり計算が容易である。精度の良い断面積を再構成する事が出来ることがわかった。
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